2010年11月26日
この19日、新宿で、ひとりの韓国人女性のインタビューを受けた。彼女は韓国の大手テレビ局のラジオ部門のプロデューサー。来年元旦に放送する特別番組制作のため、「少女時代」や「KARA」など、日本でこの夏あたりから急激にクローズアップされだした「第3世代の韓流」現地取材のため日本を訪れていた。
筆者が所属する雑誌AERAは「韓流」関連の話を頻繁に取り上げている。筆者自身もあれこれ書いている。AERAの記事が韓国で伝えられたりもする。そのため、編集部に取材依頼が来たのである。
「韓国の大衆文化が日本で人気があるのは韓国人にとって元気の出る話。だから新年の番組にと」という彼女と約1時間、インタビューに答えながらいろいろしゃべったのだが、そのなかで、彼女はいかにも不思議そうに、こんなことをいった。
「韓国のガールグループが日本で人気がある理由の一つは、踊りが抜群なことにあると聞いたけど、日本は先進国でしょ。やろうと思ったら、踊りのうまい日本人のタレントなんて、いくらでも育てられるんじゃないかしら。そもそも少女時代が韓国でデビューしたとき、『日本の影響を受けすぎている』と指摘されていたの。水兵の服とか着て。韓国を日本人はちょっとヤボったく見ていると思っていたし、どうして人気があるのか……」
メガネをかけ、なかなかの知性派の彼女は、日本での韓流人気について、いまひとつ納得が行かないようだった。
筆者はこう答えた。韓国芸能人のセンスといい、ファッションといい、それに日本人が違和感を覚えなくなったから、韓国のタレントのパフォーマンスをカッコいいと自然に受け入れるようになったのだろうと。
筆者は90年代、韓国語の勉強などで都合1年半ほど韓国に住んだが、当時を思い起こすと、その頃の韓国人、そして韓国の芸能人は、日本のそれと比べると、どことなく垢抜けない感じがした。それが変わったのは、私見だが、97年のIMF経済危機以降だ。財閥や銀行のあり方そのものまで大手術が行われたこの時期、韓国に大挙押し寄せ、大企業や銀行、金融、証券界など経済の各分野に根を張りだしたのが、まだ若い韓国系米国人の面々。ソウルの街を「アメリカ式」に胸を張って歩く彼らは、まるで敗戦直後の日本を闊歩した米軍関係の日系米国人のようだった。
有料会員の方はログインページに進み、朝日新聞デジタルのIDとパスワードでログインしてください
一部の記事は有料会員以外の方もログインせずに全文を閲覧できます。
ご利用方法はアーカイブトップでご確認ください
朝日新聞デジタルの言論サイトRe:Ron(リロン)もご覧ください