朝日ニュースター「ニュースにだまされるな!」×WEBRONZA提携
2010年11月30日
朝日ニュースターの人気番組「ニュースにだまされるな!」(朝日ニュースター公式サイト)が、WEBRONZA(ウェブロンザ)スペシャルに登場。毎月第一土曜日に初回放送される2時間ちかい番組が、一挙に文字で、かつウェブで読めます。今回のテーマは「中間選挙後のアメリカ」(11月6日(土)放送分)。11月2日の米中間選挙で民主党が大敗。オバマ政権の後半2年はどうなるのか……。中村うさぎさん、金子勝さんが迎えるスタジオに集まった4人のゲストは、アメリカの「これから」をどのように見たのでしょうか。
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◆「ニュースにだまされるな!」中間選挙後のアメリカは?(初回放送:11月6日(土)22:00~23:55)。司会:中村うさぎ(作家)、金子勝(慶応義塾大学教授)。ゲスト:アンドリュー・デウィット(立教大学教授)、柴田徳太郎氏(東京大学教授)、砂田一郎氏(学習院大学前教授)、西崎文子氏(成蹊大学教授、あいうえお順)。
◆次回の番組は、12月4日(土)22時からの放送で、テーマは「民主党は大丈夫か(仮)」です。ゲストは、石田英敬氏(東京大学大学院情報学環・学際情報学府教授)、太田昌克氏(共同通信編集委員)、谷口尚子氏(東京工業大学准教授)、早坂聡久氏(社会福祉法人柏松会常務理事、あいうえお順)、司会はもちろん、中村うさぎさん(作家)と金子勝さん(慶応大学教授)です。再放送:5日(日)16時00分~、8日(水)21時00分~、9日(木)14時00分~、同25時00分~。詳しくは番組ホームページへ。「ニュースにだまされるな!」番組公式サイト。
【司会】
■中村うさぎ(なかむら・うさぎ) 作家、エッセイスト。1958年生まれ。コピーライターやゲームライターを経て、91年にライトノベル作家としてデビュー。自らの浪費や美容整形を綴ったエッセーなどで著名に。著書に『狂人失格』『女という病』『私という病』『セックス放浪記』など。
■金子勝(かねこ・まさる) 慶応義塾大学経済学部教授。1952年生まれ。東京大学大学院経済学研究科博士課程単位取得修了。専門は財政学、制度経済学、地方財政論。著書に『新・反グローバリズム』、共著に『新興衰退国ニッポン』『日本再生の国家戦略を急げ』など。
【ゲスト】
■砂田一郎(すなた・いちろう) 学習院大学前教授。1937年生まれ。専門はアメリカ政治。早稲田大学政治経済学部卒業。毎日新聞記者を経て、カリフォルニア大学(バークレー)政治大学院修了。東海大学、学習院大学で教授を務めた。著書に『オバマは何を変えるか』『アメリカ大統領の権力―変質するリーダーシップ』『現代アメリカのリベラリズム―ADAとその政策的立場の変容』『現代アメリカ政治―20世紀後半の政治社会変動』、共著に『アメリカ現代政治・新版』『比較政治学の理論』など。
■柴田徳太郎(しばた・とくたろう) 東京大学大学院教授。1951年生まれ。東京大学大学院経済学研究科博士課程修了。経済学博士。専門は現代資本主義論、アメリカ金融制度論、景気循環論。著書に『資本主義の暴走をいかに抑えるか』『大恐慌と資本主義―進化論的アプローチ』、編著に『制度と組織―理論・歴史・現状』、共編著に『現代経済学―市場・制度・組織』『多元的経済社会の構想』『現代世界経済システム―変容と転換』。
■西崎文子(にしざき・ふみこ) 成蹊大学教授。1959年生まれ。東京大学教養学部卒業。一橋大学大学院法学研究科修士課程を経て、イェール大学大学院歴史学研究科博士課程修了。専攻はアメリカ政治外交史。著書に『アメリカ外交とは何か―歴史の中の自画像』『アメリカ冷戦政策と国連 1945-50』、共著に『アメリカの世紀―それはいかにして創られたか?』、共訳書に『ビバリベルタ!―オペラの中の政治』。
■アンドリュー・デウィット(Andrew DeWit) 立教大学教授。1959年、カナダ生まれ。ブリティッシュ・コロンビア大学政治学博士。専攻は財政学、政治経済学。金子勝氏との共著に『世界金融危機』『財政赤字の力学―アメリカは日本のモデルたりえるか』『脱「世界同時不況」―オバマは金融危機を克服できるか』『メディア危機』『環境エネルギー革命』『反ブッシュイズム―いかにブッシュ政権は危険か』など。
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(冒頭テロップ)
オバマ敗北 「チェンジ」は挫折?/茶会躍進 次期大統領はペイリン?/上下院でねじれ 米では「熟議」進む?/「小さな政府」で景気はFRB頼み?/通貨摩擦で米中関係険悪化?/貿易、安保で日米間も不安定化?/核軍縮、グリーン・ニューディールは頓挫?/イラク、アフガン戦争も現状維持?
♪オープニングミュージック:忌野清志郎「GOD」
うさぎ 金子さん、11月2日にアメリカの中間選挙が行われましたけれども。
金子 今日は、アメリカの中間選挙はなぜオバマが負けて、その結果アメリカはどこへ行き、日本との関係はどうなってしまうのか、という話をテーマにしようと思っています。他方で、いまメディアの話題はほとんど尖閣衝突映像の流出ですね。あるいはロシアの大統領が北方領土に行ったといったナショナリズム系の論調が、がんがん強まっています。ビデオを流出させたやつは英雄だ、みたいな。ぼくは正直いうと、ちょっとピントがぼけているかな、という感じがしなくもない。
うさぎ 一連のニュースがですか。
金子 そうです。中国政府は(尖閣諸島の問題を)納めたくてしょうがないと思っていると思います。本当は、APEC(アジア太平洋経済協力会議)で胡錦濤・国家主席と菅首相の会見をして落着したかった。ビデオ流出で状況が少し長引いてしまう可能性はありますが、私は全然悲観していないです。たぶん中国側は、最後は、かつての日本がそうだったように外貨準備をたくさん持っているので、日本が困っているものを買いにくると思います。以前、アメリカとの関係が悪くなったときは飛行機を大量に買って納めましたから、ゆとりのある「お金持ちの外交」をしてくるでしょう(笑い)。お互いが友好を示す何らかのきっかけをどうやってつくろうか、いま模索していると思います。
うさぎ そこに来てビデオが流出しました。
金子 そうです。そういう動きに水を差す動きが日本国内で強まっています。つまり、何となくアメリカ中心でやっていったほうが楽じゃないですか。失敗しても「アメリカと一緒にやったんだから」となる。官僚の皆さんは、そういう感じでしょう。中国とかロシアとか、言うことを言うし、えたいが知れない、(関係を作って)やっていったら大変そうだなという感じかもしれませんね。だけど、明らかに世界のパワーシフトが起きているし、市場としては、やはり中国・アジアの伸びはすごいわけです。アメリカと急激に仲が悪くなることは望ましくないけれど、さりとて「アジア・中国をとるかアメリカをとるか」という二択に入ってしまうと、この国は生きていけないんじゃないか。うまく両方をしたたかに、かいくぐっていくような道をたどらないといけない。とにかく、日本製品を買っているのは、ほとんど中国やアジアですから。
うさぎ なるほど。でも、「したたか」とおっしゃいますが、日本、とくに民主党政権の外交には、したたかさが一番欠けているんじゃないでしょうか。
金子 そうですね。本当を言うと、中国の首脳と(日本の首脳が)裏側でつながっていて、「(漁船を)つかまえちゃったよ、ビデオもあるんだけどさ」(笑い)と言って裏側でやりながら、表向きは「尖閣は我々のものだ」、向こうも「我々のものだ」と言い合っている。で、裏では互いに「どうしようか」(と相談している)というのがリアルな外交だと思うのですが、なかなかそうしたことができない、ひよわな「子ども外交」のような感じですね。とくに前原さん(外相)を見ていると、残念だけど、きちっとした分け目で、きりっとしゃべっているのに、なぜか子どものように見えてしまうのは、なぜだろう?(笑い)。
うさぎ 前原さんって、内面がにじみ出ていますよね(笑い)。まあ悪い人じゃないんだろうけれど、わりと不器用な感じです。
金子 とても頭よさそうに見えますが、とても不器用で、とても融通が利かなくて、臨機応変ではない。本当の意味で、しっかりした外交をしてほしいんですが……。
うさぎ でも、そういうタヌキな外交ができなさそうな、前原さんのような人たちに期待した時期があったじゃないですか。自民党はみんなタヌキで、小沢一郎元民主党代表もそうですが、そういうタヌキがいやだから「実直で、さわやかな(人たちに任せたい)」ということで民主党が政権を握ったと思うのですが。
金子 だけど、自民党もそうした外交が出来るようなタヌキは「抵抗勢力」と言われた人たちで、自民党も鈴木宗男氏のような人たちをみんな追い落としてしまったから、なかなか難しいですね。
うさぎ もしアメリカとうまくやっていくにしても、今回のアメリカの中間選挙がこんな結果だとすると……、ということもあります。
金子 私たちは中国も一度特集を組みましたが、アメリカの変化をきちんと見極めて、何が起きているのかをつかまないまま、「アメリカか中国か」という選択肢が妙に日本で行き交っていて、本当の意味でのリアリズムが欠けていると非常に強く感じています。ですから、今日は専門家の方ばかりをお呼びしました。
うさぎ そうですね。今日は、アメリカがこれからどうなっていくのか、日本は今後どうしたらいいのかを、この方々とお話ししていきたいと思います。
まず、学習院大学前教授の砂田一郎さんです。よろしくお願いします。砂田さんは、アメリカ政治がご専門で、がっつりとお聞きしたいと思います。
砂田 砂田です。よろしくお願いします。
うさぎ そして、東京大学大学院教授の柴田徳太郎さんです。柴田さんには悪化しているアメリカ経済について、いろいろお伺いしたいと思いますので、よろしくお願いします。
金子 悪化していますよね?
柴田 そうですね。はい。
金子 というのは、柴田さんはいつも淡々としゃべる方ですから(笑い)。ぼくは大げさに聞こえるらしいんですよ。
うさぎ 金子さんは熱いですからね。金子さんの対極で、いいんじゃないでしょうか。
金子 同じことをしゃべっても、ぼくがしゃべるとアメリカ経済が今にもつぶれそうに感じるのに、柴田さんがしゃべると「大変なんだな」で済むという。
うさぎ 暑苦しい金子さんの熱を柴田さんが冷やす、という感じで(笑い)、よろしくお願いします。そして、成蹊大学教授の西崎文子さんです。よろしくお願いします。西崎さんはアメリカ政治・外交史がご専門ですので、その方面をいろいろお聞きしたいと思います。
金子 西崎さんは、長い歴史的な視点がぱっと光るように出てくるので、普通の人と少し違います。目先のことではない、長い歴史の流れで説明していただけると思います。
うさぎ 歴史の上に現在があるわけですからね。そして、お久しぶりです、立教大学教授のアンドリュー・デウィットさんです。デウィットさんは久々の番組ご登場ですね。
デウィット よろしくお願いします。
金子 デウィットさんは長い間、世界中をあちこち飛び回っていましたね。
デウィット そうですね、宇宙まで行っていました(笑い)。グリーン革命を探しながら世界中に行ってきました。なかなか見つからないのですが。
金子 番組でもいろいろ紹介しましたが、アメリカのグリーン(環境)政策はかなり厳しいでしょう?
デウィット いや、ペンタゴン(米国防総省)が活動していますから大丈夫です(笑い)。
金子 デウィットさんは、議会がダメになったから軍隊に期待しているそうです。先ほども楽屋で冗談を言っていたのですが、「もうこれからはグリーン海軍、バイオ燃料で動く爆撃機だ」と言うのです。それはいいことなのか。地球に優しい殺戮兵器なんて、そんなものありか、という。
うさぎ 自己矛盾じゃないかという話ですね(笑い)。デウィットさんには、アメリカ経済やアメリカ国内の事情について伺いたいと思います。よろしくお願いします。なお当初、東京大学教授の古矢旬さんが出演予定で、テレビ欄にもそのように記載されていたのですが、急遽、変更となりました。ご了解いただければと思います。
金子 ご事情があったのですが、古矢さんには、また出ていただけると思います。
うさぎ 古矢さんは残念ながらご出演願えないのですが、このメンバーでお送りしたいと思います。ありきたりの解説に飽きた方、不信感を持っている方、納得の2時間です。最後までぜひご覧ください。
金子 中間選挙の報道は(日本では)1日、2日ですぐ終わってしまいましたが、たぶん本当はすごいことが起きたんですよ。その意味をちゃんと聞いて頂ければ、しっかり世界が見えてくると思いますから、楽しみにして下さい。
うさぎ 日本にどのような影響があるかも含めて話していきたいと思います。その前にCMです。
(CM)
うさぎ さて金子さん、アメリカ中間選挙の結果をご説明いただければと思います。
金子 フリップ(1)「上下両院党派別勢力図」を見ていただきたいのですが、事前の下馬評でもオバマ不利が言われていて、上院も過半数を割ってしまうかもしれないと言われていたのが、いちおうギリギリ53議席ということで半数を何とか保ちました。ところが下院は「歴史的な敗北」と言われてもいいくらいですね。現時点で255議席から188議席まで激減するという(未確定8議席)、完全に過半数を割る状況まで来ました。大統領は民主党で、議会の下院、つまり日本でいえば衆議院が共和党という、完全なねじれ状況になりました。
実はこれに付随して州知事選がおこなわれたのですが=フリップ(2)「州知事選」、こちらでも民主党が圧倒的に負けて、共和党が躍進しました。あとで皆さんに説明していただくのですが、これは議会の選挙区割りなどいろいろな問題に反映してきますし、アメリカは連邦国家なので州レベルの政治にも、すごく大きな影響をもたらすと思います。今日はデウィットさんも来ていますが、グリーン政策(グリーン・ニューディール)などもどうなってしまうのか。
選挙区割りで上院のフリップ(3)「上院の選挙結果マップ」を見るともっと分かりやすいのですが、赤いところが共和党で青いところが民主党ですが、真ん中あたりは、わーっと真っ赤です。もともと東西の両端は民主党が強かったのですが、南北戦争を思い起こすような状況です。
もうひとつ、もっとすごいのが知事選のフリップ(4)「知事選の選挙結果マップ」で、こちらもすごい状況になっていて、ほとんど真っ赤っか。この勝った共和党の主張は市場原理主義が非常に強い、という状況です。
まずは、なぜこういう結果になってしまったのか、あるいはこの結果をどう見るか、ということを分析していきたいと思います。なぜこういう結果になったのか、印象でもけっこうですので、砂田先生から伺いましょう。
砂田 はい。オバマ大統領がやってきたことを一定ていど評価してきた立場からいうと非常に残念な結果になりましたが、これがいちおう「民意」ということだと思います。景気が十分に回復しなかったことに対してアメリカ国民が不満を持って、現政権、つまりオバマ大統領と民主党に「ノー」と言った、というのが一般的な解釈で、これは誰も異存がないと思います。実際に、選挙の出口調査でも60%以上の人が「経済を重視して投票した」と答えているので、これは間違いない。
ただ、政治を分析する立場から見ると、これは経済・景気の状態が実際、客観的にどうなっているかというよりも、有権者の受け取り方、意識の問題なんですね。実際には大不況の元凶は前政権のブッシュの頃にあったわけですが、オバマが打った経済対策に効果がないじゃないか、という共和党の宣伝に国民の多くが同調してしまった、ということです。
こうした経済のあり方が基本なのですが、私が二つほど付け加えるとすれば、一つは医療保険改革の影響です。これはアメリカ社会にとって非常に必要な改革でしたし、識者は歴史的な改革だったと評価しています。しかし、改革の当初から人気がなかったにもかかわらず、オバマはあえて使命感をもってやったわけです。これで無党派中間層が、必ずしも全面的に医療保険に反対していたとは言えないと思いますが、不況下で医療保険改革に意欲を示すオバマに反発した、ということがあると思います。
また、この層の人たちは、民主党・共和党の党派対立が激しい「ワシントン政治」を改革してもらう、という意味で「チェンジ」に期待していました。オバマも大統領選では実際にそうしたことを言っていたのに、それはまったく実現しなかった。共和党が頑強に抵抗したので、そうした超党派政治が出来なかったわけですが、それでがっかりして、なおかつ医療保険改革も無理に進めるべきじゃないとなって、無党派中間層の極端な人はティーパーティー(茶会)、そして全体としては共和党に票が流れた、ということだと思います。
オバマのチェンジに期待していたもう一つの層は民主党支持層なのですが、この人たちはワシントン政治を変えるというよりも、むしろアメリカ社会を改革するような政策の実現を期待していました。その点では、オバマは医療保険改革など一定ていど彼らの期待に応えたのですが、実際には共和党の抵抗に遭って改革が不十分だったということで、民主党支持層もオバマにそれなりの不満を持っているわけです。ただ、不満があるからといってオバマや民主党を支持していないわけではなくて、今でも民主党支持層は80%ぐらいがオバマを支持していますが、熱意がダウンしてしまった。そのため、若い人を中心にあまり積極的に投票に行かなかったわけです。その結果、投票率が40%に下がり、そのうちの過半数が共和党を支持した。これが「民意」になったわけで、国民全体からみれば25%ぐらいの人がオバマに抗議の投票をした、それで結果が決まった、ということだと思います。
金子 西崎さんはどうでしょうか。
西崎 いま、砂田先生がおっしゃったことにまったく同感で、そういう力学が働いたんだと思います。
ただ同時に、2008年の大統領選があった年の選挙と、今年の大きな差がとても気になります。
もちろん、オバマには中間選挙で非常に不利になる構造的な要因がありました。一つは、過度の期待が寄せられていて、まるでメシア(救世主)が現れたかのように国内外で期待されてしまったので、失望は当然で仕方がなかったという面があります。
それから、やはり状況が悪すぎた。経済も戦争、外交、軍事も彼が引き継いだ状況があまりにも悪すぎて、オバマ政権に出来ることは悪化を最低限にとどめることだったと思います。ただ、それは国民から見れば「何が最低限か」判断できないですし、自分の職が生まれることが望んでいる結果なのにそれが生まれなかったことに不満を抱いている。
もう一つは、そもそもオバマに対する支持が圧倒的ではなくて、やはりアメリカは「フィフティ・フィフティ・ネーション(50%・50%国家)」で、保守・リベラルの両極に分断されています。そのような状況で、オバマは共和党に妥協しながら医療保険改革を進めたわけですが、それがリベラルの失望を生み出しました。
というように構造的要因はあったのですが、選挙後の2~3日でゆっくり考えてみると、アメリカという国家・社会の目指すビジョンがオバマの選挙の時は、非常に包括的で包容力のある、貧しい人も利益を得ることができるような寛容な社会のビジョンだったのが、景気の不況が続く中でそのようなビジョンを抱く余裕を失っていったのだろうと思います。利益が得られない状態で他の人のことなんか構っていられるか、という怒りとか欲求不満が、大きな意味では現れているんじゃないか、という気がします。
金子 柴田さんは経済的な面について、どう思われますか?
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