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名古屋市「36万署名」を活かす次の一手は?:住民投票をさらに進化・深化させたい

菅沼栄一郎

菅沼栄一郎 朝日新聞記者(地域報道部)

 名古屋市民が市議会の解散を求めた「36万署名」は、リコールのための住民投票実施規定に達するか、なお微妙な情勢だが、日本の住民投票の歴史を大きく前進させたことは間違いない。気の早い河村たかし市長は「不成立の責任をとって」辞意を表明したが、これとは別に、市民の立場から、「36万署名」を活かす次の一手を考えたい。

 史上まれに見る大規模な署名運動を推進した貴重な経験を踏まえ、住民投票をさらに進化、深化できないか。リコール投票が成立した場合、3つの論点――(1)減税の恒久化の是非(2)市議の報酬と定数を半分にするのか(3)地域委員会を拡大するのか――をめぐって、各地で公開討論会を開き、問題点をさらに深めることができないか。リコール投票が成立しなかった場合でも、3つのテーマごとに改めて住民投票を請求することができる。

 これまでの署名集めの過程では、3つの論点をめぐる市民の間の議論がほとんどなかった。仮にリコール投票になっても、現職議員をすべてクビにしてしまえば、それで終わりというわけにはいくまい。解散の先にある「どんな名古屋市、議会を作るか」の議論が必要だ。この場合、文化会館の建設の是非を11月に問うた長野県佐久市の例が参考になる。市内各地で20回余りの説明会を開き、賛成と反対の市民が2度の公開討論会で議論した。

 これから毎年減税をして福祉財源は十分に賄えるのか、議員報酬は半分でいいのか、もっと下げるのか、議員報酬の決定権はお手盛りでやってきた議会に任せていいのか、議員の定数を減らした場合に地域委員会にどの程度の権限をもたせるのか――などなど、議論することは山のようにある。

 リコール投票不成立の場合の再度の住民投票は、有権者の50分の1の署名を集めて直接請求をすればいい。リコール署名の10分の1でOKだ。ただ、リコールと違って住民投票条例を制定する際に、市議会の議決が必要だ。この議決に賛成するかどうかは市議一人一人に対する「踏み絵」にもなる。論点ごとの3回の投票は、まとめて市長選(知事選)と同時にすれば、費用は最低限で済む。日本の住民投票はほとんどは単発だったが、米国の場合、11月の中間選挙では、13州で計42件の住民投票が同時に実施された。

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筆者

菅沼栄一郎

菅沼栄一郎(すがぬま・えいいちろう) 朝日新聞記者(地域報道部)

朝日新聞記者 1955年11月27日生まれ。80年、新聞記者に。福島支局、北海道報道部、東北取材センターなど地域を歩く。この間、政治部で自民党などを担当。著書に『村が消えた――平成大合併とは何だったのか』(祥伝社新書)、『地域主権の近未来図』(朝日新書、増田寛也・前岩手県知事と共著)。

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