高成田享
2010年12月15日
いま、三陸から房総沖の北部太平洋で、巻き網によるサバ漁が盛んに行われている。12月11日には、千葉県銚子港に4700トンのサバが水揚げされた。豊漁なのは、けっこうだが、漁獲されたサバのほとんどが300グラムから400グラムのジャミサバと呼ばれる1歳魚のマサバだと聞くと、資源に影響しないだろうかと心配になる。
マサバは1978年に約150万トンの漁獲があったのをピークに減り続け、90年には2万トンまで減少、最近は6~8万トン前後で推移している。水産庁の資源評価は「低位横ばい」だ。ジャミサバは鮮魚としての価値は低く、養殖用のえさや缶詰など加工用に利用されている。もう1年か2年か待てば、大きく成長し、鮮魚として高く売れるのはわかっているのだが、漁業者は目先の利益に走りがちだ。
今年(2010年)の秋に、ノルウェーのサバ船に乗って取材をする機会があった。1隻当たりの漁獲量が割り当てられているため、私が乗った船は小型魚の群れでは網を入れず、漁場を変えて大きな魚を獲った。資源管理がきちんとなされているノルウェーと、「低位横ばい」でも幼魚を獲り続ける日本との差を実際に見たことになる。
12月初旬、ハワイで開かれた中西部太平洋マグロ類委員会(WCPFC)は、メバチ(マグロの一種)の資源に打撃を与えている大型巻き網の規制を議論したが、巻き網船の規制を求める日本に対して、新興の韓国、豪州などが反対し、実質的な歯止めはかからなかった。
沿岸の漁師、カツオの一本釣りやマグロの延縄など伝統的な漁業者は「諸悪の根元は巻き網」と巻き網を非難する。しかし、巻き網は資源枯渇の心配が出てくるほど効率的な漁法なわけで、資源を確保できるのなら、むしろ推奨すべき漁業だろう。問題は資源管理が不十分な漁業の体制なのであって、巻き網漁業が悪いわけではない。
あらためて日本漁業を振り返ると、
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