鈴木崇弘
2010年12月20日
現在の予算編成の論議を聞いていると、次のいくつかのポイントが浮かんでくる。
・昨年の政権交代を実現した際の民主党のマニュフェストの残滓の取り扱い。
・経済の相変わらずの低迷の中で税収が減少し、厳しい財政。
・新規政策およびマニュフェストの政策実現のための財源確保の困難化。
・世論調査における政権および民主党への支持率の厳しい結果と傾向。
・政権交代移行後の選挙における民主党への厳しい結果と情勢。
・来年の4月の統一地方選への影響と予想される厳しい情勢。
これらのことから、菅政権は、予算編成において、厳しい財政の中、大盤振る舞いならぬ、小盤振る舞い(しかも、その対応で右往左往している感じだ。その象徴が、高速道路休日1000円継続、子ども手当の天引き、介護利用料増先送りなどである)で、有権者にほんの一部の耳触りのいい政策をとって、政局や選挙をなんとか乗り切り、凌いでいこうとしていることが透けてみえてくる。相変わらず、菅政権の今後の日本社会へのビジョンはみえてこないし、日本社会への希望も感じられない。
他方、先日、菅首相に近い方から話を聞く機会があった。「菅総理は、覚悟を決め、これから積極的にやっていくことにしたようだ」とのこと。その後、菅首相による、「法人税5%下げ」指示や問題にもなった「今までは仮免許だった」「いよいよ本免許」発言、小沢一郎切りの方向性がでてきて、まさに符合した。
このことから考えると、菅首相は、明らかに今後は積極的に国家運営を切り盛りすることを決意したようだ。
であるなら、菅首相にはぜひ原点に戻って考えなおしていただきたいところだ。思い起こせば、菅首相の政治の原点は、市民活動だ。その意味からも、偶然にも旧来の仕組みが機能しなくなっているこの時期にできた菅政権は、民を活かした新しい社会システムの構築こそがその使命であるといってもいいだろう。
本稿では、その原点の観点から、平成23年度の予算編成について申し上げたい。
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