藤原秀人
2010年12月21日
獄中にある劉暁波氏へのノーベル平和賞授与式を受けて、中国外務省の姜瑜・副報道局長は「いかなる国や人もノーベル平和賞を利用して中国の内政に干渉し、司法の主権を侵害することに断固反対する」との談話を発表。「政治的な茶番は中国の国民が特色ある社会主義の道を歩む決意と自信を揺るがすことはない」と強く批判した。
「茶番は中国の方だ」。そんな声があちこちで聞かれたことだろう。ノーベル平和賞授賞式前日の12月9日に北京で授与式があった「孔子和平奨」(孔子平和賞)のことである。
突然話題になった孔子賞について詳しい経過はよく分からない。劉氏に対する平和賞授賞が決まった後、中国共産党機関紙である人民日報の系列紙、環球時報は、チューリヒ州立銀行北京駐在員事務所の劉志勤首席代表の論説を掲載し、民間機関による「孔子和平奨」の設立を提唱した。その後、8日になって孔子賞事務局は「今年の平和賞に対する中国の平和的な回答」という声明を発表、中国共産党との関係改善に努めた連戦・国民党名誉主席を「台湾と大陸の平和のかけ橋をつくった」とたたえて賞をおくることにした。
孔子賞の授賞式は翌日開かれたが、オスロの本番と同様に「主役不在」となった。そもそも連氏に事前に連絡があったかどうかも定かでない。連氏とは無縁の無表情な少女にトロフィーが渡されたり、「和をもって貴しとなす」の精神が設立理由としながらも、選考責任者の譚長流氏がしどろもどろになって経過を説明したりと、散々な結果となった。
だから、外国のメディアやネチズンが「茶番」とこき下ろしたのも当然だろう。
しかし、私は孔子賞に、中華人民共和国ならではの特色を感じるのである。
孔子賞の選考委員は、
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