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 “東シナ海に「平和」が実現して欲しい”と、日本人としてつくづく思う。ここでいう「平和」とは、単に戦争が起きないということではなく、争いの種が消え、衝突が起こることなく、すべてが話し合いにより解決し、資源開発等で積極的な協力関係が存在する、そんな平和だ。しかし、現実的に考えると、残念ながらそんな平和が、近い将来、東シナ海に訪れるとは考えられない。

 天然ガスや海洋資源等の資源が豊富で、かつ、台湾の帰属問題や朝鮮有事の可能性といった軍事的利害が絡む東シナ海において、領有権や管轄権の問題が簡単に解決すると考えてはいけない。だから、こういった問題が長らく存在し続けることを前提に、軍事的衝突を招かず、かつ、自国の経済的・安全保障的利益を守るような「均衡」を形成・維持し、「安定」状態を創り出すことに外交・防衛の関心は向けられるべきだ。

 従来、東シナ海で懸案となっている主要問題のひとつは、日本と中国の排他的経済水域(EEZ)の境界線をどこにするかだ。EEZは沿岸国がそこでの資源開発等に排他的権限を有する海域で、原則的には領海から200カイリ(約370キロメートル)までがその範囲だ。

 しかし、日本と中国は領土が近接しているので、それぞれのEEZの範囲は両国の領海基線からの「中間線」で決めることになっている。ただし、くねくねした海岸線から求めた基線を元に中間線を求めるのは容易ではなく、自然とお互いの主張に違いが生じてくる。しかも、中間線の引き方で自国が得られる経済的利益が大きく変わってくるのだから、お互い簡単には自分の主張を変えない。だから、管轄権の問題は容易に解決しない。

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筆者

水田愼一

水田愼一(みずた・しんいち) 水田愼一(三菱総合研究所海外事業研究センターシニア政策アナリスト)

三菱総合研究所海外事業研究センターシニア政策アナリスト。東京都生まれ。ニューヨーク大学大学院修士課程修了(国際関係論)。東京大学大学院博士課程修了(博士(国際貢献))。1996年外務省入省後、北米局、在米日本国大使館、欧州局、アジア大洋州局、大臣官房を経て退官、2002年11月より現職。専門は、外交・安全保障、平和構築、国際協力、通商政策、貿易・投資等の分野。

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