菅沼栄一郎
2011年01月18日
「危機克服へ最強の態勢を作った」
菅直人首相は内閣改造の狙いをこう強調して見せたが、朝日新聞の17日付調査では内閣支持率は「5ポイント増」に止まった。
新聞各紙の調査は、いずれも数%の「微増」だったが、久しぶりの下げ止まりを「反転攻勢の足場」と評価するものはなく、いずれも「鈍い反応」とした辛口評価が目立った。
追い込まれた菅政権の今後を占うポイントは、昨年末の連立交渉でいずれも背を向けた野党を、もう一度振り向かせる課題を示すことができるか、にかかっている。
菅首相が、消費増税と社会保障改革を正面から訴えた姿勢は間違っていない。TPP(環太平洋パートナーシップ協定)交渉に向けた態勢準備を進める考えにも賛成だ。野党のなかにも、このふたつの大きな課題について時間をおかずに取り組まなければならないとの認識は広がっている。ただ、この課題に協力して取り組む相手が目の前にいる菅政権なのか、それともそれ以降に先送りするのかを野党がどう判断するか、だろう。
首相は民主党大会で「党派を超えた議論に、野党が積極的に参加しようとしないなら、歴史に対する反逆行為といっても言い過ぎではない」と踏み込んだ。理屈では、その通りだろう。日本の危機的な財政状況に対する国際認識は一致している。自民党の谷垣禎一総裁も「解散に追い込む」とばかり叫んでいればいいというものではない。政党支持率を見れば、国民は民主党に愛想をつかしつつある一方で、自民党や他の党への期待が膨らんでいるわけでもない。
政治が足踏みして、予算案も景気対策も決定できない状況が長引けば、政権政党への批判が、与野党を通じた国会全体への不信に広がるのにそう時間はかからない。しかし、「今しかない。俺に乗るしかない」という求心力が首相に残っているか。
例えば、定数削減は共通課題とはなり得ないか。
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