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首脳間の信頼関係構築がひとつのカギ

藤原秀人

藤原秀人 フリージャーナリスト

 中国の胡錦濤国家主席による今回の公式訪米については、米国側が国賓として最大限の歓迎ぶりを示したと伝えられる。

 米国が中国首脳を国賓として招いたのは、1997年秋の江沢民国家主席(当時)以来のこと。第3世代のリーダー、江氏に続く丁重なもてなしに、第4世代の胡氏もメンツが保ててほっとしたことだろう。

 とはいっても、訪米中に2010年の国内総生産(GDP)が日本を抜いて世界2位になったことを確実にした中国のトップであれば、当然の扱いだろう。

 中国が今ほどの存在感がなかった97年の江氏訪米も、破格の扱いだった。

 筆者は当時、北京に駐在していた。江氏の訪米すべてをカバーしたかったのだが、すぐにあきらめた。直前に発表された日程は次のように盛りだくさん。専用機を使っても追いつけないように思えた。

 10月26日     ハワイ州ホノルル到着

            戦艦アリゾナ記念館訪問

    27日     バージニア州ウィリアムズバーグ到着

    28日午前   ウィリアムズバーグ見学

       午後   ワシントン到着、迎賓館泊

    29日朝    ホワイトハウスで歓迎式典

       午前   クリントン大統領と首脳会談

       正午ごろ 共同記者会見

            ゴア副大統領主催の昼食会

       夜    ホワイトハウスで夕食会

    30日朝    議会指導者との朝食会

       昼    外交評議会など主催の昼食会で演説

            ペンシルベニア州フィラデルフィア市内視察

            ニューヨーク入り

     31日    ニューヨーク証券取引所や各企業を訪問

  11月 1日    マサチューセッツ州ボストン入りし、ケンブリッジ市のハーバード大学で演説

            ロサンゼルスへ

      2日    企業訪問、帰国へ

 江氏は当時71歳。これほどの日程が組まれたのは、89年の天安門事件による中国の国際的孤立から完全に抜け出したい江氏の強い意欲に加えて、米国に次ぐ大国になるのが当時から間違いないとみられていた中国への米国の配慮があったに違いない。

 昨年暮れに68歳を迎えた胡氏の今回の訪米日程は以下の通りだ。

   1月18日    ワシントン到着。オバマ大統領主催の私的夕食会

     19日朝   ホワイトハウスで歓迎式典

        午前  オバマ大統領と首脳会談

        午後  オバマ大統領とともに、米中の企業家と面会

            バイデン副大統領、クリントン国務長官と昼食会

        夜   公式夕食会

     20日    米上下両院指導者と会談

            米中関係団体共催の昼食会

            シカゴへ出発

     21日    帰国     

 どうみてもシンプルである。

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