鈴木崇弘
2011年03月08日
民主主義は実に厄介な仕組みだ。選挙があるだけでは、それで社会が民主主義なわけでもなく、民主主義がうまく機能するわけでもない。民主主義を機能的かつ有効に運営していくためには、実に多くのインフラが必要だ。
思い出してほしい。みなさん自身が選挙に参加することを決め、投票所に行く。そこで投票する際、自分が信頼できる人材を、何を材料に一体どうやって選んでいるのか。
短い選挙期間中の宣車(選挙カー)での名前の連呼、政策ビラ、候補者ポスター、選挙広報、立会演説会、候補者(公開)討論会、候補者のHP等々。めぼしいものだけでも、多くの機会や媒介がありそうだ。しかし、よく考えてみると、そのほとんどは、表面的で一時的な情報の提供である。そのほとんどは、自分がその特定の場所や時間にいないことには、それらの情報が得られない。また前回あるいは過去の選挙でどうだったか、それを知ろうとしたら、自分でかなりの手間暇をかけないとわからない。候補者を一覧的に知らべたりするのも大変だ。
そのようなときに強力な武器になるものがある。それが、政治と選挙の総合サイトである「ザ選挙(http://go2senkyo.com/)」だ。同サイトは、元々は、日本インターネット新聞社が2006年7月から運営してきたが、今年の3月、VoiceJapan社が引き継ぎ、リニューアルして再開され、4月の統一地方選に向けてフル活動で充実を図っている。以前も、戦後の国政の全選挙と候補者のデータから地方選(2000年前後ころから)まで幅広く掲載してきた。国政と地方選が一括掲載されているサイトは、本サイトが本邦唯一。その意味では、本サイトは日本の選挙をオープンかつ民主主義的にしていくうえでのインフラだ。また掲載情報に関しては今後さらに、積極的に充実させていくそうだ。
「ザ選挙」の仕組みと活動は、形式的には株式会社が運営しているが、その実態はこれまでも、またこれからも非営利活動、社会活動だ。なぜそのようなことが可能なのか。それは、サイトの運営を引き継いだVoiceJapan社の代表取締役の高橋茂氏の存在のお陰だ。
高橋氏は、田中康夫氏が2000年の長野県知事選に初出馬する際に、ネットで選挙戦をサポートした人物。それを契機に政治に目覚めた。その後も、自分の専門であるネットのスキルを活かして、政治にかかわるようになった。そして政治家・政治団体や市民活動などのサポートやネットメディアのコンサルティング活動などのさまざまな試みを行ってきている。つまり、高橋氏は、インターネットを活用し、政治をオープンにし、変革しようとしている「デジタル軍師」なのだ(注)。
高橋氏は、
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