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日本政治の未熟さ示した前原外相辞任

高成田享

高成田享 仙台大学体育学部教授(スポーツメディア論)

 前原外相は確かに不注意だったかもしれないが、今回の「違法献金」で辞める必要はなかったし、むしろ悪例を残したと思う。

 その理由は第1に、献金の金額は小さく、献金者も古くからの友人で、この献金によって日本の外交政策が影響を受けるおそれは、ほとんどないということだ。大きな単位のお金が外国の企業や組織から献金されたのとは性質が違うもので、違法に気づいたなら、献金者に返還し、報告書を修正すればすむことだ。

 第2に、「在日韓国人」「在日朝鮮人」が政治家に期待するのは、この国に根を下ろした「在日」の地位向上であって、韓国や北朝鮮の利益に必ずしも直結していないということだ。「在日」が生まれた歴史、もうとっくに2世や3世の時代になっている事実を見れば、「外国人」と一般化して考えるべきではない。

 第3に、野党からの辞任要求は、上記のような理由は百も承知のうえで、政権を倒すことを狙った戦術だということだ。野党からの理不尽とも見える攻撃で、仙谷前官房長官、前原外相と政権の柱を失っていけば、これからもささいなことで、閣僚が辞めることになり、政府の機能がマヒすることになりかねない。

 野党の攻撃で閣僚が辞任せざるをえないのは、菅首相に政権を担うパワーがないからだということは言うまでもない。その元をただせば、参院で過半数を失い「ねじれ国会」になっていることが最大の原因だ。法案の成立だけでなく、問責決議・審議拒否という武器を野党が手にしたことで、もはや国の政策を審議しながら実行に移していくという意味での国会の機能は消えてしまった。

 民主党と自民党との支持率が拮抗していることを見ても、ねじれ国会は今後も常態化するだろう。このまま菅政権が解散に追い込まれ、政権を手放したとしても、この国会運営で民主党が自民党から受けた仕打ちは、恨みとして残るだろうから、同じように重箱の隅をつつくような政治ゲームが続き、国家の運営が成り立たない事態は変わりないだろう。

 政権の体をなしていない。だれもが指摘するいまの状況だ。しかし、それを言うなら

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筆者

高成田享

高成田享(たかなりた・とおる) 仙台大学体育学部教授(スポーツメディア論)

1948年、岡山市生まれ。71年に朝日新聞社に入り、経済部記者、アメリカ総局長、論説委員などを経て、2008年から石巻支局長。この間、テレビ朝日系「ニュースステーション」キャスターも経験。2011年2月に退職し、仙台大学教授。東日本大震災後、復興構想会議の委員を務める。主な著書に『ディズニーランドの経済学』(共著、朝日文庫)、『こちら石巻 さかな記者奮闘記――アメリカ総局長の定年チェンジ』(時事通信出版局)、『さかな記者が見た大震災 石巻讃歌』(講談社)など。

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