櫻田淳
2011年04月11日
東京都知事選挙には、政権政党である民主党が擁立した候補はいなかった。民主党は、二〇〇九年衆議院選挙に際して、東京都の小選挙区二十五議席の内、二十一を占め、二〇一〇年参議院議員選挙では候補二名の当選を果たし、二百四十万票を獲得した。こうした経緯に照らし合せれば、自前の候補を擁立できなかった民主党の現状は、奇妙である。
第一に、東京都知事選挙に臨む際に民主党は、どのような論理を用意しようとしたのかは、甚だ曖昧である。一昨年夏の「政権交代」以前ならば、国政レベルでは「反・自由民主党」、東京都政レベルでは「反・石原慎太郎」といった「アンチの論理」に徹することは、理に適っていたかもしれない。
ただし、「政権交代」を経ても、民主党内閣二代の政権運営には、「自民党内閣時代の流儀は踏まない」という趣旨の「アンチの論理」が見え隠れする。「民主党の政権運営や政策でなければならない理由」は、この一年半の政権運営を経ても、実は国民各層に明確に示されているわけではない。そうした政党としての腰の定まらない事情が、候補擁立断念にも反映されている。
有料会員の方はログインページに進み、朝日新聞デジタルのIDとパスワードでログインしてください
一部の記事は有料会員以外の方もログインせずに全文を閲覧できます。
ご利用方法はアーカイブトップでご確認ください
朝日新聞デジタルの言論サイトRe:Ron(リロン)もご覧ください