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NBC戦に備える米海兵隊特殊部隊の「実力」

谷田邦一

谷田邦一 ジャーナリスト、シンクタンク研究員

 深い因縁なのか、それとも単なる巡り合わせか。日本で起きたテロをきっかけに発足した米軍の特殊部隊が、日本の原発事故を支援するために来援した。米海兵隊のCBIRF(化学生物事態対処部隊=Chemical Biological Incident Response Force、シーバーフ)である。ワシントン郊外のインディアンヘッド海軍基地から、約150人の部隊が4月上旬、航空機7機に車両32台と大量の器材を積んでやってきた。

 その創設を提唱したのは、「ビンのふた」発言で知られるチャールズ・クルーラック元海兵隊総司令官(大将)である。第3海兵遠征軍の幹部として、沖縄で勤務した経験もある。1995年にオウム真理教による地下鉄サリン事件があったとき、クルーラック大将は在日米軍を管轄するハワイの太平洋海兵隊司令部に呼びかけた。東京では、民間人を標的にした世界で初めての化学テロで、5人の死者と6千人以上の負傷者が出ていた。しかし司令部の返答はごく短く、がっかりさせるような内容だったという。

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 この事件をきっかけにクルーラック司令官は、高まる生物・化学テロの脅威に即応できる部隊の必要性を訴えた。提唱した基本コンセプトが採り入れられ、クリントン大統領の命令に基づき96年、CBIRFは創設された。

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筆者

谷田邦一

谷田邦一(たにだ・くにいち) ジャーナリスト、シンクタンク研究員

1959年生まれ。90年、朝日新聞社入社。社会部、那覇支局、論説委員、編集委員、長崎総局長などを経て、2021年5月に退社。現在は未来工学研究所(東京)のシニア研究員(非常勤)。主要国の防衛政策から基地問題、軍用技術まで幅広く外交・防衛問題全般に関心がある。防衛大学校と防衛研究所で習得した専門知識を生かし、安全保障問題の新しいアプローチ方法を模索中。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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