谷田邦一
2011年04月18日
深い因縁なのか、それとも単なる巡り合わせか。日本で起きたテロをきっかけに発足した米軍の特殊部隊が、日本の原発事故を支援するために来援した。米海兵隊のCBIRF(化学生物事態対処部隊=Chemical Biological Incident Response Force、シーバーフ)である。ワシントン郊外のインディアンヘッド海軍基地から、約150人の部隊が4月上旬、航空機7機に車両32台と大量の器材を積んでやってきた。
その創設を提唱したのは、「ビンのふた」発言で知られるチャールズ・クルーラック元海兵隊総司令官(大将)である。第3海兵遠征軍の幹部として、沖縄で勤務した経験もある。1995年にオウム真理教による地下鉄サリン事件があったとき、クルーラック大将は在日米軍を管轄するハワイの太平洋海兵隊司令部に呼びかけた。東京では、民間人を標的にした世界で初めての化学テロで、5人の死者と6千人以上の負傷者が出ていた。しかし司令部の返答はごく短く、がっかりさせるような内容だったという。
クルーラック「日本に何がしてやれるのか」
司令部幕僚「我々には何の手だてもありません」
この事件をきっかけにクルーラック司令官は、高まる生物・化学テロの脅威に即応できる部隊の必要性を訴えた。提唱した基本コンセプトが採り入れられ、クリントン大統領の命令に基づき96年、CBIRFは創設された。
有料会員の方はログインページに進み、朝日新聞デジタルのIDとパスワードでログインしてください
一部の記事は有料会員以外の方もログインせずに全文を閲覧できます。
ご利用方法はアーカイブトップでご確認ください
朝日新聞デジタルの言論サイトRe:Ron(リロン)もご覧ください