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東日本大震災を新しい政策形成の仕組みづくりの好機に――『復興のタネ』の試み

鈴木崇弘

鈴木崇弘 城西国際大学客員教授(政治学)

 東日本大震災は、いまだ多くの行方不明者がいる。だが、被災地は、救出・救援活動と共に、復興や今後の再生に向けた動きが始まってきている。

 また、今回の震災は、日本の社会や経済、さらに政治が混迷し、低迷していた中で起きた。1990年代に始まるこの20年は、多くの試みもあったが、結局は最近では「失われた20年」ともいわれはじめていた。それは、従来の行政を中心とした政治と政策形成の手法ではその状態をブレークスルーできず、将来への不透明感や閉塞感がさらに増大してきていたからだ。

 だから、これから始まる段階や動きは、単にこれまでの日本社会に戻るという復旧あるいは復興のレベルであってはいけないのであり、新しい日本を創成するような視点が必要である。その場合、短期な視点(現時点では、その視点も重要であるが)を超えた、さらに中長期的な視点も必要であろう。

 また、別記事「行政だけが復興のアクターではない(http://astand.asahi.com/magazine/wrpolitics/2011040800007.html)」でも述べたように、政権や政治が現状況を的確にマネージできていない中で、行政が力を増大させてきているといわれており、また行政への期待感も高まってきている。だが、筆者は、もちろん行政には有効かつ機能的な活動や仕事をしていただきたいと考えているが、この日本の20年の流れをみればそのような現状と期待は違うのでは考えている。

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