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復興にはリサーチを活かせ!

鈴木崇弘

鈴木崇弘 城西国際大学客員教授(政治学)

 日本の政策形成は戦後これまで、優秀な官僚が、先行の事例などをもとにおこない、それに政治が利益団体や選挙区の要望をもとに微修正をおこなうというやり方でなされてきた。日本がキャッチアップ段階である時には、この手法は有効に機能した。

 他方、この20年ぐらいは、政治で微修正を加えた官僚中心のこの政策形成は、社会や時代のニーズに必ずしも合わなくなってきた。

 私は、この5、6年政治に比較的近い場所にいて、このことを特に実感した。そこで感じたことは、政策づくりと現場が離れてしまっていて、現場の声が政策に届いていないということだった。それは、政治や行政が、日本の各地やさまざまな現場で起きていることを的確に理解するチャネルや方策を失ってきてしまったことを意味した。つまり、政策形成が社会的ニーズに適合できていないということだ。

 そのことが、この20年の行政への不信感や自民党を中心とした政治への不満や不信そして嫌悪感を生んできた。そして自民党がおこなってきた行政中心の政策形成が批判され、「脱官僚主導」「政治主導」というスローガンを掲げた民主党が実現した2009年の政権交代につながった。しかし、そのスローガンはある意味正しかったが、その根本である現場の状況や国民のニーズを的確に政策形成に活かしたり、それを織り込んでできる政策を国民や有権者に伝えながら、政権を有効に運営することができなかった。つまり、現場や国民の声が政策形成に活かされていないという事実が、政権交代でも変わっていないということを意味することになった。

 そのため、政権運営、特に東日本大震災後の危機管理の失敗やまずさ、遅速な対応に対する国民の不満と怒りは日に日に高まってきている。それは、統一地方選前半の民主党大敗北という結果にも現われた。

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