小北清人
2011年04月27日
韓国では、「とっくに終わったひと」のはずだった。
彼女の名前は「申貞娥(シン・ジョンア)」。今を去る4年前、2007年の韓国で、おそらく大統領夫人より有名だった女性だ。独身。この4月末で39歳になる。ただしその名声は、学歴を偽って大学助教授に成り上がり、「権力中枢にいる男と寝て出世した」魔性の女、としてだ。
「共和国の娼婦」。ある有力紙はそう彼女を呼んだ。
「シン・ジョンア事件」に世間の注目は加熱、盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領(当時)が北朝鮮の金正日(キム・ジョンイル)総書記と行うことになった南北首脳会談(07年10月)さえ事件の熱気に霞んで見えるほどだった。
「盧武鉉政権時代(03年2月~08年2月)で最も騒がれた事件」といまも語り草になっている。
「事件」のあらましはこうである。
ところが、韓国指折りの国際美術展「光州ビエンナーレ」08年展示会の芸術監督への彼女の就任が発表されて間もない07年7月、彼女のイェール大博士号証明書が「真っ赤なウソだったのが内部調査で判明した」と東国大が明らかにしたのだ。イェール大も彼女が博士号を取得した事実はないと発表した。
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