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 菅直人首相のような人のことを「徳がない」と呼ぶのかもしれない。

 東日本大震災の発生後、しばらく公邸にも帰らず、官邸に立てこもって細かいことまで指示し続けたといわれる。福島第一原発の現場をヘリで視察したり、東京電力本店に怒って乗り込み、政府・東電一体の福島原発事故対策統合本部を設置させたりした。

 米国なら、こうした行動は十分評価され得る。だが、日本の現実は全く逆だった。統一地方選で与党民主党は大敗、自分の支持率も下げ、「菅おろし」の動きが公然化している。

 4選を果たした石原慎太郎東京都知事とは、全く正反対の結果だった。震災は「天罰」という石原氏の舌禍事件は雲散霧消した。

 大震災と原発事故は、うまく対応すれば、支持率を好転させる絶好のチャンスだった。一体、何が悪くて菅首相の支持率がさらに低下したのか、その理由を探る必要がある。

 第1に、菅首相には指導力が見られない。

拡大避難所を訪れ、避難者と話す菅直人首相=4月21日、福島県田村市の市総合体育館で
 当初の段階で、時間がかかっても原発を安全に冷やして最終的に「廃炉」とする目標を掲げ、避難住民に十分な補償ができるよう、東電の「国有化」も検討する――といった大方針をなぜ掲げられなかったのか。

 福島第一原発の1~4号機には大量の海水とホウ素を注入しており、廃炉は必至だ。巨額の補償金を抱える東電はいずれ、何らかの形で国家的関与を必要とする。そもそも2年前、国民は民主党にこうした政策を期待して政権に就けたのではないか。国民は安心して任せられる政策を待っている。

 第2に、菅首相は国民の心に共鳴する言葉を発していない。 ・・・ログインして読む
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筆者

春名幹男

春名幹男(はるな・みきお) 早稲田大学客員教授(米政治安保、インテリジェンス)

1946年京都市生まれ。大阪外国語大学卒。共同通信社ニューヨーク支局、ワシントン支局、ワシントン支局長。名古屋大学大学院国際言語文化研究科教授をへて、現在、早稲田大学客員教授。ボーン・上田記念国際記者賞・日本記者クラブ賞受賞。著書に『ヒバクシャ・イン・USA』(岩波新書)、『秘密のファイル―CIAの対日工作』(共同通信社)など。

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