水田愼一
2011年05月07日
ビンラディン殺害が国際法と照らして合法であるとの主張の論拠は概ね次の通りである。米国は、2001年9月11日の同時多発テロを受けて、国連憲章で認められる「自衛権」発動の結果として、国際テロ組織アルカイダと戦争を開始した。この自衛権行使は国連安保理決議によっても支持されている。
この主張に関する最大の争点の一つは、アルカイダが国際人道法上の「交戦者」にあたるかどうか、ビンラディンが「戦闘員」にあたるかどうかという点にあるだろう。ビンラディンは殺害された時、戦場と呼ぶには程遠い閑静な住宅街の邸宅におり、しかも非武装であった。現行の国際人道法は、国境を越えてテロ活動を行うアルカイダのような組織やその構成員であるビンラディンのような者を、交戦者、戦闘員として想定した法文規定を有していない。
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