春名幹男(はるな・みきお) 早稲田大学客員教授(米政治安保、インテリジェンス)
1946年京都市生まれ。大阪外国語大学卒。共同通信社ニューヨーク支局、ワシントン支局、ワシントン支局長。名古屋大学大学院国際言語文化研究科教授をへて、現在、早稲田大学客員教授。ボーン・上田記念国際記者賞・日本記者クラブ賞受賞。著書に『ヒバクシャ・イン・USA』(岩波新書)、『秘密のファイル―CIAの対日工作』(共同通信社)など。
※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです
春名幹男
そして、オバマ政権は約10年間にわたって捜索してきた、米中枢同時多発テロの首謀者オサマ・ビンラディン容疑者(54)を発見、殺害した。
しかし、これで米国とイスラム世界の新しい時代が到来する、とは予測できない。むしろ「疑念」の溝は広がりそうな気配だ。
問題は殺害と葬祭の方法にある。
米海軍特殊部隊SEALSは2機のヘリコプターで、パキスタンの主権を無視して、パキスタンの首都イスラマバード北郊アボッタバードにあるビンラディンの隠れ家を急襲、武器を持っていなかったが、殺害した。「生け捕り」にすれば、奪還闘争を誘発する恐れがあるため、殺害した可能性がある。
ビンラディンは米連邦捜査局(FBI)の指名手配を受けていたが、裁判で弁明の機会も与えられなかった。だが、ビンラディンは元々、自分から先に米国に対して「宣戦布告」した。恐らくイスラム社会では、殺害の状況はともかく、テロに対する米国の報復、と殺害自体を大問題にすることはないかもしれない。
むしろ問題は弔い方である。
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