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「戦後」と「災後」の間――憲法論議からの視点 

櫻田淳

櫻田淳 東洋学園大学教授

 震災後、最初の憲法記念日を迎えた。此度の震災は、発生後一ヵ月半を経た現時点で評する限り、地震、津波、原子力発電所事故の三つに稚拙な政治指導が加わった「複合災害」としての色彩を濃くしている。

 筆者は、国家の役割の根本は、「一般国民にとって普段は決して鬱陶しいものであってはならないけれども、必要とされる時には必要とされることができる」という趣旨に沿うものでなければならないと考えてきた。

 平時においては、人々の活動に国家が関わる余地は、出来るだけ限定されなければならない。それが憲法上、「自由」と呼ばれている諸々の事柄の趣旨である。しかし、戦争や自然災害に類する有事においては、国家の枠組で「必要とされること」が適切に実行されなければならない。ここでいう「必要とされること」とは、有事において人々が苦難を強いられる時間を出来るだけ局限する対応のことである。

 有事には、人々の生命、身体、財産が脅威に晒される局面が続くけれども、そうした局面を終わらせるためには、人々に対して一定の程度までの不都合を強いる対応を採らなければなければならない場合がある。人々の「自由」を長期的に保障するために、その「自由」に時限的に制限を課すこともあるという半ば矛盾した対応こそが、「必要とされる時には必要とされることができる」ということの本質なのである。 ・・・ログインして読む
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筆者

櫻田淳

櫻田淳(さくらだ・じゅん) 東洋学園大学教授

1965年宮城県生まれ。北海道大法学部卒、東京大大学院法学政治学研究科修士課程修了。衆議院議員政策担当秘書などを経て現職。専門は国際政治学、安全保障。1996年第1回読売論壇新人賞・最優秀賞受賞。2001年第1回正論新風賞受賞。著書に『国家への意志』(中公叢書)、『「常識」としての保守主義』(新潮新書)など。

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