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ウサマの死とオバマの成功――アフガン撤退のチャンス?

高橋和夫

高橋和夫 放送大学教養学部教授(国際政治)

 1980年代からアメリカが追ってきたオサマ・ビンラーディンが殺害された。クリントン大統領の時代からの目標をオバマ大統領が達成した。これはアメリカにとっての勝利である。そしてオバマにとっては、大きな勝利である。

ホワイトハウスの危機管理室で5月1日、急襲作戦現場からの同時中継を見守るオバマ大統領(左から2人目)ら米政府首脳。ゲーツ国防長官(右端)、クリントン国務長官の姿もある=ホワイトハウス提供

 オバマは2008年の大統領選挙では、イラクの戦争を間違いであると批判した。オバマにとっての正しい戦争の相手はビンラーディンの率いるアルカーエダであり、正しい戦場はアフガニスタンでありパキスタンであった。

 オバマは大統領就任後、一方ではイラクから撤兵を始め、他方では逆にアフガニスタンへ兵力を増派した。オバマのアルカーエダとの戦争を当初に担当した故ホルブルック大統領特使の戦略は「アフパック」として知られる。つまり、アフガニスタンをパキスタンと切り離して考えるのは意味がない。

 摩擦や対立はあるものの、両国の地理的な人的な密接さを考慮すれば、アフガニスタン政策とパキスタン政策は統合されるべきとの発想であった。上に書いたように、アフガニスタンとパキスタンをくっつけて「アフパック」という言葉が作られた。ターレバンやアルカーエダが自由に両国の国境を越えて移動する事実からすれば自然で当然で合理的な政策である。

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