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アラブの春とビンラーディンの死――彼は政治的に死んでいた

高橋和夫

高橋和夫 放送大学教養学部教授(国際政治)

 ビンラーディンの殺害のニュースが世界を駆け巡っている。しかしビンラーディンは、その前に政治的に死んでいたのではないだろうか。

 いつ、どこでビンラーディンは政治的に死んだのか。それは今年の1月から3月にかけてである。場所は、チュニジアとエジプトである。

 ビンラーディンが掲げたものは何だろうか。欧米と結託するアラブの独裁政権に反対し、そうした政権を打ち倒す。そして外国の勢力をイスラム世界から一掃して、シャリア(イスラム法)に基づく政治体制を打ち立てる。これがビンラーディンの目標である。そして、その手段はテロであり殉教である。ビンラーディンの追従者は、世界各地でテロを実行した。テロは多くの人々を殺傷し、恐怖を巻き起こした。だが、これまでにテロで倒れた体制はない。

 ところがチュニジアとエジプトの大衆が示したのは、平和的な抗議行動によって独裁政権を倒すことが可能であるという事実である。 ・・・ログインして読む
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筆者

高橋和夫

高橋和夫(たかはし・かずお) 放送大学教養学部教授(国際政治)

北九州市出身、放送大学教養学部教授(中東研究、国際政治)。1974年、大阪外国語大学ペルシャ語科卒。1976年、米コロンビア大学大学院国際関係論修士課程修了。クウェート大学客員研究員などを経て現職。著書に『アラブとイスラエル』(講談社)、『現代の国際政治』(放送大学教育振興会)、『アメリカとパレスチナ問題』(角川書店)など多数。ツイッター https://twitter.com/kazuotakahashi ブログhttp://ameblo.jp/t-kazuo 

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