松下秀雄
2011年05月28日
復興財源を確保するため、菅直人政権が国家公務員の給与カットを提案し、連合系の公務員労働組合連絡会(連絡会)が受け入れた。3年間限定だが、本省の課長・室長以上なら10%、課長補佐・係長は8%、係員は5%削減するという内容だ。
全労連系の日本国家公務員労働組合連合会(国公労連)は反発している。だが、政府は国公労連の合意を得られない場合も、給与引き下げの法案を国会に提出するとみられる。
■10日のスピード合意
この給与カット、まさに異例づくしだ。
まず、これだけの大幅カットは初めて。国家公務員の給与は、毎年、民間企業の動向にあわせて増やしたり減らしたりする仕組みをとっている。最近は緩やかに減り続けていたが、さらにその数年分を一気に減らす(減り始める前の1998年と比べ、2009年は、40歳の本省係長で12・8%、地方の係長で17・5%減っている。民間企業の動向にあわせたのに加え、比べる企業の規模を「100人以上」から「50人以上」に広げたためだ)。
それから、こんな決め方も初めてだ。本来は、人事院が民間の動向を調べ、それに沿って決めるよう内閣に勧告する。だが今回、人事院は蚊帳の外に置かれた。人事院勧告方式では、民間の動向を超えて「深掘り」することは難しいからだ。
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