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日本を大きく転換する好機に!……政治インフラの観点から

鈴木崇弘

鈴木崇弘 城西国際大学客員教授(政治学)

 最近、知り合いから、地味であるが、非常に重要な書籍をいただいた。そのタイトルは、『アメリカ政治を支えるもの――政治的インフラストラクチャーの研究』(久保文明編、[財]日本国際問題研究所)というものである。

『アメリカ政治を支えるもの――政治的インフラストラクチャーの研究』
 同書は、アメリカの政治を下から支える基盤的部分(「政治的インフラストラクチャー」と呼んでいる。本稿では「政治・政策インフラ」と略す)、具体的には、財団、シンクタンク、メディア、メディア監視機関、資金監視団体、大学などを分析している。同書の趣旨は、内政・外交を含め、中長期的にアメリカ政治の全体像を把握し、理解していくには、そのインフラの機能と重要性(アメリカの政治においては、それらが、他国以上に重要とのこと)について、十分に理解しておくことが不可欠ではないかというものである。

 同書を読むと、政治、特に民主主義政治を運営、存続させていくには、いかに多くの政治・政策インフラが必要であり、それを支えるさまざまな資金、人材、情報等がいかに必要であり、それらが多種多様なチャネルや手法・方策で流入していかないといけないということがわかる。

 日本では、インフラというとダムとか道路、ビルのような物理的な建造物のような「ハード」を指すことが多いが、同書で論じられる政治・政策インフラは、ハードというよりは、社会のビジョン(たとえば、自由主義とか民主主義のようなもの)やビジョン実現のための仕組みを回していくためのソフトのインフラである。

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