櫻田淳
2011年06月07日
六月二日午後、衆議院に提出されていた内閣不信任案が否決された。不信任案採決直前、菅直人(内閣総理大臣)が表明した「辞意」と思しきものは、不信任案否決に向けた民主党内の流れを作ったかもしれないけれども、それは、菅の退場への道を却って踏み固めるようになったようである。
菅は、確かに一時は不信任案否決を通じて政権の危機を脱したように見えたけれども、後に残されたのは、その露骨な背信による混乱であった。鳩山は、菅の背信に接して「ペテン師」の言葉で菅を非難したけれども、その姿には、一国の宰相を務めたとは信じられないほどの浅薄さと滑稽さが漂っていた。
そして、小澤は、不信任案採決前夜、「造反」に向けた気勢を挙げたものの、実際の採決では欠席し、多くの同志議員を自主投票に委ねた。凡そ政治家に要請されるものとは裏腹な性向が、菅、鳩山、そして小澤の「民主党トロイカ」には三者三様の姿で現れた。
こうした風景は、「民主党トロイカ」からの人心離反を加速させ、その政治上の威信を決定的に失墜させるものであろう。
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