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統合案はアメリカ一流の現実主義の知恵。だが、ほとんど絶望的か……

小沢秀行

小沢秀行

 このニュースに初めて接した時、私はアンデルセン童話の「裸の王様」を思い出しました。詐欺師に「愚か者には見えない服です」とだまされ、裸で街を歩く王様に、小さな子どもだけが、「王様は裸だ」と「真実」を叫ぶ、あの物語です。

 沖縄県宜野湾市にあるアメリカ海兵隊の普天間飛行場を、日米両政府は名護市辺野古に移設する計画を進めています。しかし、当初は条件つきで容認していた名護市長も沖縄県知事も、その後、受け入れ反対に転じました。

 客観的に見て、「辺野古移設」はほとんど不可能になったのに、今も日米両政府は日米合意の実現という「建前」を崩していません。そんななか、アメリカ議会の重鎮が、現行計画は「非現実的で実行不可能」と正面から認め、他の案を検討するようぶちあげたのです。まさに「裸の王様」の少年のようではありませんか。

普天間移設をめぐり視察に来たレビン米上院軍事委員長(右)とウェッブ米上院外交委員会東アジア太平洋小委員長=4月27日、沖縄県庁
 できもしないことにいつまでも固執するのではなく、冷厳な現実を見据えて次善の策を探る。そんなアメリカ一流の現実主義の知恵を感じました。

 では、なぜ、米上院のカール・レビン軍事委員長(民主党)、ジョン・マケイン軍事委員会筆頭委員(共和党)、ジム・ウェッブ外交委員会東アジア太平洋小委員長(民主党)の3氏は、政府の見解に反するような提言をまとめたのでしょうか。

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