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次期首相は「敵との戦い」を演出しない人物を

櫻田淳

櫻田淳 東洋学園大学教授

 菅直人の政治手法の限界

 田中角栄が政治家の心得の一つとして語っていたのは、「他人の悪口を言わない」ことであったと伝えられる。それは、「味方を増やすこと」よりも「敵を減らすこと」の意義を説いた田中らしい挿話である。

拡大「敵を作る」振る舞いを避けたといわれる田中角栄元首相
 田中は、政治における「友」と「敵」の関係は、相対的なものと考えていた。一つの局面では「友」であった人々は、次の局面では容易に「敵」に転じる。

 しかも、「友」を作るのは、決して簡単な営みではない。それ故にこそ、政治家は、不用意に「敵」を作る振る舞いを避けなければならない。「他人の悪口を言う」というのは、「敵」を作る振る舞いの典型なのである。

 菅直人は、この田中の言葉に従えば、「敵を不用意に増やした」宰相であった。菅の政治手法は、何らかの「敵」を設定し、その「敵」と闘う自らを演出するというものであった。菅が自らの「敵」として設定してきたのは、自民党であり官僚層であり小澤一郎であり、現在では、東京電力を含む日本の「原子力コミュニティ」であったかもしれない。菅は、その意味では、宰相の座を占める前でも後でも、「敵」を求め続けた政治家であったといえよう。

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筆者

櫻田淳

櫻田淳(さくらだ・じゅん) 東洋学園大学教授

1965年宮城県生まれ。北海道大法学部卒、東京大大学院法学政治学研究科修士課程修了。衆議院議員政策担当秘書などを経て現職。専門は国際政治学、安全保障。1996年第1回読売論壇新人賞・最優秀賞受賞。2001年第1回正論新風賞受賞。著書に『国家への意志』(中公叢書)、『「常識」としての保守主義』(新潮新書)など。

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