薬師寺克行(やくしじ・かつゆき) 東洋大学社会学部教授
東洋大学社会学部教授。1955年生まれ。朝日新聞論説委員、月刊誌『論座』編集長、政治エディターなどを務め、現職。著書に『証言 民主党政権』(講談社)、『外務省』(岩波新書)、『公明党』(中公新書)。編著に、『村山富市回顧録』(岩波書店)、「90年代の証言」シリーズの『岡本行夫』『菅直人』『宮沢喜一』『小沢一郎』(以上、朝日新聞出版)など。
※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです
薬師寺克行
3月11日の東日本大震災以後、我が国はメディアも政治家も国民も関心が内向きになった。震災復興や原発問題が最大の課題であることは言うまでもない。
しかし、国際情勢は日々刻々と動き、それらは決して我々の生活と無縁ではない。とても「情報鎖国状態」ではいられないのも事実だ。
それに加えて問題なのは、日本が直面している外交問題も完全にストップしていることだ。沖縄の米軍普天間飛行場の移設問題は全く動かず、日米安保体制はますます不安定になっている。菅首相が約束した秋の訪米は誰が行くのか。それ以前に本当に次期首相が訪米できるのかさえはっきりしなくなっている。
また、6月に方針を打ち出すはずだった還太平洋経済連携協定(TPP)の協議参加問題も先送りされたまま宙に浮いている。秋に予定されているアジア太平洋経済協力(APEC)首脳会議や東アジア首脳会議(EAS)など一連の国際会議で、日本政府が国際社会に何も発信すべきものを持たないまま臨むようなことになれば、国際社会での存在感は失われてしまうだろう。
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