メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

news letter
RSS

【北欧エネルギー事情<3>】スウェーデンのエネルギー担当大臣に聞く 「政府は一切、原発補助はしない」

脇阪紀行

脇阪紀行 大阪大学未来共生プログラム特任教授(メディア論、EU、未来共生学)

 連載第1回で、スウェーデンの「脱原発」政策により閉鎖されたバーセベック原発の現状、さらに、連載第2回で、「脱原発」政策のその後の変化と現状を追った。今回と次回は、スウェーデンのエネルギー政策を担当する政府高官2人のインタビューから、この国の政府自身がどのように自らのエネルギー政策の特色をとらえ、どんな将来展望を描いているかを見てみよう。

■原発に理性的に向き合う

 1人目に紹介する企業エネルギー通信省のダニエル・ヨハンソン氏は政権与党の一つ、中央党出身の副大臣だ。ポリティカル・アポインティ(政治任用)として、エネルギー政策づくりの責任を負う。次回紹介するエネルギー庁長官は、この省が決めた政策指針の枠内で、政策を遂行する。ただし、エネルギー庁は、原発や水力など各分野の精鋭を集めた「専門家集団」であり、そのトップにあるトマス・コーベリエール長官は工学博士であり、学界からの公募を経て長官に就任しており、インタビューの最後に語った震災後の日本への率直な注文はなかなか面白い。

 インタビューで興味深いのは、2人とも、原発については政府は推進役に回らず、電力会社の経営判断に新増設を任せようという基本姿勢だ。1970年代、反原発活動で知られた中央党出身のヨハンソン氏は、原発の新増設を認めた政権与党の方針に同調しつつ、「補助金とわかればやめるだろう」と、原発への慎重姿勢をにじませた。一方のコーベリエール長官は、建設コストの増大という観点から、原発建設の難しさを率直に語った。

 ともに原発について感情的ではなく、極めて理性的に語っていたのが印象的だ。これはドイツのメルケル政権が2022年までの「脱原発」を決めたこととの比較で、とくに大きな違いとして感じられた。

 ドイツ政府の決定に対して ・・・ログインして読む
(残り:約4977文字/本文:約5720文字)

全ジャンルパックなら本の記事が読み放題。


筆者

脇阪紀行

脇阪紀行(わきさか・のりゆき) 大阪大学未来共生プログラム特任教授(メディア論、EU、未来共生学)

1954年生まれ。79年に朝日新聞社に入社、松山支局などを経て大阪本社経済部に。90年からバンコクのアジア総局に駐在。米国ワシントンでの研修を経て97年からアジア担当論説委員。2001年からブリュッセル支局長。06年から論説委員(東南アジア、欧州など担当)。2013年8月末に退社、9月から、大阪大学未来共生イノベーター博士課程プログラム特任教授。著書に『大欧州の時代――ブリュッセルからの報告」(岩波新書)、『欧州のエネルギーシフト』(岩波新書)。

脇阪紀行の記事

もっと見る