脇阪紀行
2011年06月27日
■原発に理性的に向き合う
1人目に紹介する企業エネルギー通信省のダニエル・ヨハンソン氏は政権与党の一つ、中央党出身の副大臣だ。ポリティカル・アポインティ(政治任用)として、エネルギー政策づくりの責任を負う。次回紹介するエネルギー庁長官は、この省が決めた政策指針の枠内で、政策を遂行する。ただし、エネルギー庁は、原発や水力など各分野の精鋭を集めた「専門家集団」であり、そのトップにあるトマス・コーベリエール長官は工学博士であり、学界からの公募を経て長官に就任しており、インタビューの最後に語った震災後の日本への率直な注文はなかなか面白い。
インタビューで興味深いのは、2人とも、原発については政府は推進役に回らず、電力会社の経営判断に新増設を任せようという基本姿勢だ。1970年代、反原発活動で知られた中央党出身のヨハンソン氏は、原発の新増設を認めた政権与党の方針に同調しつつ、「補助金とわかればやめるだろう」と、原発への慎重姿勢をにじませた。一方のコーベリエール長官は、建設コストの増大という観点から、原発建設の難しさを率直に語った。
ともに原発について感情的ではなく、極めて理性的に語っていたのが印象的だ。これはドイツのメルケル政権が2022年までの「脱原発」を決めたこととの比較で、とくに大きな違いとして感じられた。
ドイツ政府の決定に対して
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