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【復興構想会議から】 「提言」を終えて(上)――財源と雇用をどうする?

高成田享

高成田享 仙台大学体育学部教授(スポーツメディア論)

 復興構想会議の提言「悲惨のなかの希望」がまとまり、6月25日、五百旗頭真議長が菅直人首相に提言を手渡した。その直前に開かれた構想会議で、各委員は感想を述べたが、私は何を言うべきか迷い続けた。すべて満足という内容ではなかったが、それなりに納得している。これからは提言がちゃんと実行されるかどうか注視していく。そんな趣旨のことを発言したが、正直に言って、まだ自分自身のなかで、この提言を総括できていない気がする。どう「コミットメント」するのか、よくわからないのだ。

●復興は現役世代だけが負担?

 この提言で、どうしても納得できない部分は、1カ所だけだ。「復旧・復興のための財源については、次の世代に負担を先送りすることなく、今を生きる世代全体で連帯し、負担の分かち合いにより確保しなければならない」という下りだ。

東日本大震災復興構想会議の終わりにあいさつする五百旗頭真議長(左)。左から2人目は菅直人首相=6月25日
 これだけの大被害を受けて、「今を生きる世代」だけで負担しようとすれば、財源を小さくするしかなく、結果的に、被災者の復旧・復興が遅れることになりかねないと心配する。関東大震災の直後、内務相として入閣した後藤新平が最初にした行動は、大蔵省の役人を呼んで、いくらの国債が発行できるかを尋ねることだった。後藤の頭の中に、増税はまったくなかったと思う。

 私が構想会議のなかで繰り返し主張したのは、

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