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 退陣を表明した首相が解散の影をちらつかせて延命を図る。菅直人首相ほど衆院解散権を弄んだ首相を知らない。

拡大記者会見で、退陣についての条件を明らかにした菅直人首相=6月27日夜、首相官邸で
 解散権は首相の政治権力を裏付ける最大の拠りどころだ。その行使によって一挙に全衆院議員が身分を失い、国家の基本方針が一変する。それだけに解散権を手にした首相はその権限に対して謙虚でなければならない。解散権の乱用は「恫喝民主主義」に直結する。

 竹下登元首相は解散権についてしばしばこう語っていた。

 「首相の衆院解散と日銀総裁の公定歩合の変更については本当のことを言わなくてもいい」

 竹下語録は解散権が首相の専権事項であること指摘しながら同時に、「本当のことを言わなくてもいい」というところに最大のポイントがあった。「ウソをついていいということではない」と竹下氏が力説していたのを思い出す。多くの歴代首相も解散の時期について問われると、異口同音に「今は考えていない」と答えるのが、ある種の政界の常識になっていた。ひとたび「解散を考えている」と答えれば、その瞬間に政治は後戻りできなくなるからだ。

 逆に解散権に触れることが命取りになった首相もいる。

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筆者

後藤謙次

後藤謙次(ごとう・けんじ) 後藤謙次(フリーの政治コラムニスト、共同通信客員論説委員)

フリーの政治コラムニスト、共同通信客員論説委員。1973年4月、早稲田大学法学部卒業、共同通信社入社。函館支局、札幌支社などを経て、82年から本社政治部。政治部長、編集局長を歴任。07年10月、共同通信社を退社後、TBS系の「NEWS23」キャスター、「総力報道! THE NEWS」アンカーなどを務める。著書に『小沢一郎 50の謎を解く』(文春新書)、『竹下政権576日』など。現在、週刊「ダイヤモンド」に連載中。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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