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 バラク・オバマ大統領が就任してから2年半。中間選挙では下院を共和党に奪われたものの、上院では何とか多数を保つことに成功し、クリントン政権のような分割政府、つまり議会を野党に奪われるねじれ現象は避けることが出来た。経済情勢が好転したとはとても言えないとしても、リーマン・ショックのような危機の再来は見られず、懸念された雇用も緩やかな拡大に転じている。めざましい成果を挙げたとは言えないが、落第点はつかないだろう。

 オサマ・ビン・ラディン殺害を転機として下降を続けた支持率も上昇し、いまでも辛うじて支持が不支持を上回っている。来年の大統領選挙の行方はまだわからないが、対抗する共和党には強い候補がまだ現れておらず、前回は共和党大統領候補の指名に敗れたミット・ロムニー元マサチューセッツ州知事がやや優位に立っているくらい。エドワード・ケネディ上院議員が現職のカーター大統領に立ち向かった1980年選挙と違って、民主党内にはオバマ大統領に対抗する動きはない。政権交代から2年経っても混乱の続く日本と比べればうらやましいくらいだ。

拡大アフガニスタン南部カンダハル州で、榴弾(りゅうだん)砲を発射する米陸軍兵ら=6月12日、ロイター
 外交政策はどうだろう。前任のブッシュ大統領の下で、アメリカはアフガニスタンとイラクという二つの戦争を戦った。大統領に立候補したオバマ氏は、その二つの戦場からアメリカ兵を帰国させること、すなわちイラク・アフガニスタンからの撤兵を公約に掲げていた。

 そして実際、イラクから米軍は撤退し、先日には、この夏からアフガニスタンの兵力を段階的に撤退させる計画を発表している。それではオバマは、アメリカを戦争から平和に引き戻したのだろうか。

 違う。

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筆者

藤原帰一

藤原帰一(ふじわら・きいち) 藤原帰一(東京大学大学院法学政治学研究科教授)

1956年生まれ。東京大学大学院博士課程単位取得中退。千葉大学助教授などを経て、東京大学大学院法学政治学研究科教授。専門は国際政治・東南アジア政治。著書に『新編 平和のリアリズム』(岩波現代文庫)、『戦争解禁――アメリカは何故、いらない戦争をしてしまったのか』(ロッキング・オン)、『映画のなかのアメリカ』(朝日選書)、『戦争を記憶する――広島・ホロコーストと現在』(講談社現代新書)など多数。共編著に『アメリカの影のもとで――日本とフィリピン』(法政大学出版局)など。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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