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[4]震災後のリニア建設を考える(その2)――原発と同じように、畏れを抱くべき

聞き手=WEBRONZA編集部

原武史

――リニアは、この5月になって初めて、5線以外で初めて整備計画に格上げされたわけですね。それほどの大問題なのに、震災の影響でほとんど報道も検証もされていない。国民的な議論も盛り上がっていません。ちなみに整備新幹線やリニア以外の広義の新幹線としては、一度は着工したものの工事が中止された成田新幹線(現・成田空港高速鉄道が跡地の一部を利用)や、「ミニ新幹線」に当たる山形新幹線・秋田新幹線のような例もあります。

 そうです。「フル規格」の新幹線を通すのがすぐには難しいと地元が判断した山形や秋田では、在来線の線路幅を新幹線と同じ国際標準軌(1435ミリ)に改め、新幹線が在来線に乗り入れられるようにするミニ新幹線の招致活動を進めました。フル規格よりも工期や工費が圧縮されたこともあって、整備新幹線よりも早く、1992年に山形、97年に秋田への新幹線延伸が実現しました。両県は「そうまでして新幹線を早く欲しがった」と言えるかもしれません。

 こうした中で、1997年に現在も使われているリニア実験線が山梨に完成しました(18.4キロ)。今回のリニア計画にそのまま流用することを想定した先行区間です。山梨以前に遡れば、1973年に新幹線の基本計画に「中央新幹線」の名前が挙がった直後の74年に着工し、77年に開設された宮崎の実験線(7キロ)がありました。こちらは廃線となっていますが、私は日経新聞の記者時代、JR担当の取材で1987年暮れに大臣視察に同行して乗車したことがあります。当時の運輸大臣は石原慎太郎氏。竹下登内閣の頃でした。

――実際に乗ってみて、どういう雰囲気でしたか。山梨の最新型の車両ではだいぶ改善されているのかもしれませんが、当時の車両の乗り心地、例えば騒音や振動はどうだったでしょうか。

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筆者

原武史

原武史(はら・たけし) 

1962年、東京都生まれ。明治学院大学教授。専攻は日本政治思想史。著書に『大正天皇』(朝日選書、毎日出版文化賞)、『「民都」大阪対「帝都」東京――思想としての関西私鉄』(講談社選書メチエ、サントリー学芸賞)、『滝山コミューン 一九七四』(講談社文庫、講談社ノンフィクション賞)、『昭和天皇』(岩波新書、司馬遼太郎賞)、『鉄道ひとつばなし』『同2』(講談社現代新書)、『「鉄学」概論――車窓から眺める日本近現代史』(新潮文庫)など。最新刊に『鉄道ひとつばなし3』(講談社現代新書)がある。