メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

「ジャパンエキスポ」にみるフランスのオタクたち(上)――大きくなる社会への影響力

清谷信一

清谷信一 軍事ジャーナリスト

 6月末、フランスでは学校が夏休みに入り、夏のソルド(セール)が始まる。本格的な夏の到来だ。そんな6月30日から7月3日の4日間にわたり、毎年恒例の欧州最大のオタクなイベント、ジャパンエキスポが今年も開催された。

女子高生のコスプレの来場者も多い=筆者撮影
 今年は4日間で推定延べ約18万人が参加した模様だ。

 筆者は過去20年にわたってフランスを中心に欧州のオタクシーンの定位置観測を継続してきた。1998年には『ル・オタク――フランスおたく事情』(KKベストセラーズ)を上梓(2009年に『ル・オタク フランスおたく物語』」として講談社から文庫化)している。

 本書を執筆した当時、「日本のオタク文化は世界で受け入れられるようになる」などと主張して変人扱いされたものだが、近年のジャパンエキスポの盛況ぶりを見ていると、時代は変わったと実感する。

 ジャパンエキスポの会場はパリ郊外、シャルル・ド・ゴール空港に隣接するノール・ビルバンド見本市会場だ。ここはパリ最大の見本市会場で、多くの国際見本市が開催される。会場最寄りのRER(高速鉄道)の駅からは既にコスプレ姿の参加者が多数ホームに降り立つ。

 日本のイベントでは、コスプレは会場に入ってから、がルールだ。

 だが、こちらは

・・・ログインして読む
(残り:約2239文字/本文:約2759文字)