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ギャップイヤーから考える日本と若手世代

鈴木崇弘

鈴木崇弘 城西国際大学客員教授(政治学)

 皆さんは、「ギャップイヤー(Gap Year、GY)」という言葉を聞いたことがあるだろうか。日本でも、近年頻繁にメディアなどで取り上げられるようになってきている(注1)。

宮城・気仙沼で、津波が運んできた大量の泥を取り除くボランティアの学生たち=2011年4月
 GYは、大学の入学試験に合格した学生が高校卒業後から入学まで、あるいは入学後のある期間や、大学卒業から大学院への進学や就職までの間に一定の休学期間を得て、ボランティアやインターン等の職業・社会体験、国内外の留学や旅行など様々な活動などを通じて、社会的な見識を広める機会を得る慣習のことである。

 GYは、英国で1990年代から始まった。同国では大学入学資格を得た18歳から25歳までの若者に、入学を1年ぐらい遅らせるなどで、社会的見聞を広めるためのモラトリアム(猶予)期間を与えている。ウイリアム王子やハリー王子がGYを取ったことで、有名になった。同国では、約1割の学生が利用して、さまざまな形の経験を積んでいるという。これにより就業力が向上し、有為な人材を輩出しているということが研究でも証明されてきている。そして、米国のハーバード大やMITなどでも近年強く推奨されているという。

 なぜこのようなGYが、今日本でも注目を集めてきているのか。

 それは最近の就職活動(就活)

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