脇阪紀行
2011年08月06日
フィンランドにはフィンランドの悩みがある。それが原発の問題となれば、それはフィンランドにとどまらず、世界にも影響を与える。
オルキルオト原発3号機の続発する工事のトラブル、それに伴う工期の大幅な遅れと、建設コストの大幅な増大という問題である。
大工事にはつきもののことかもしれないが、新世代原子炉の建設ゆえにトラブルは重なり、設計変更を次々迫られた。しかしその多くが、安全性を追求した末の出来事だった。
関係者の間でよく知られているのは、2005年に着工した原子炉の基礎工事が始まってすぐ、放射能・原子力安全庁が出したイエローカードだ。
基礎部分をつくるセメントに多くの亀裂があり、構造が脆弱になっている、さらに、工事現場に下請け業者の未熟練労働者が入り、格納容器に、設計図になく、まったく不必要な穴を次々にあけている、というのだ。
1986年のチェルノブイリ原発事故以来、原発の建設がほとんどなかった空白期間のツケがこんな形で表れたともいえるのだろう。原発建設の現場を知る人材が減り、蓄積されていたノウハウが次第に忘れされつつあるのだ。
2003年にTVO社がアレバ社などと契約を交わした時の運転開始は6年後の2009年、それまでの投資予定額は30億ユーロだった。ところが運転開始の時期はどんどんずれ込み、今の段階では、一番早くても4年遅れの2013年といわれている。
建設にかかるコストがいくらになるのか
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