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【北欧エネルギー事情<8>】 フィンランド編(その2)――建設コストの増大と工事の遅れ

脇阪紀行

脇阪紀行 大阪大学未来共生プログラム特任教授(メディア論、EU、未来共生学)

 ●忘れられる原発建設のノウハウ

 フィンランドにはフィンランドの悩みがある。それが原発の問題となれば、それはフィンランドにとどまらず、世界にも影響を与える。

 オルキルオト原発3号機の続発する工事のトラブル、それに伴う工期の大幅な遅れと、建設コストの大幅な増大という問題である。

 大工事にはつきもののことかもしれないが、新世代原子炉の建設ゆえにトラブルは重なり、設計変更を次々迫られた。しかしその多くが、安全性を追求した末の出来事だった。

 関係者の間でよく知られているのは、2005年に着工した原子炉の基礎工事が始まってすぐ、放射能・原子力安全庁が出したイエローカードだ。

 基礎部分をつくるセメントに多くの亀裂があり、構造が脆弱になっている、さらに、工事現場に下請け業者の未熟練労働者が入り、格納容器に、設計図になく、まったく不必要な穴を次々にあけている、というのだ。

 1986年のチェルノブイリ原発事故以来、原発の建設がほとんどなかった空白期間のツケがこんな形で表れたともいえるのだろう。原発建設の現場を知る人材が減り、蓄積されていたノウハウが次第に忘れされつつあるのだ。

拡大3号機の巨大なタービン=筆者撮影
 オルキルオト原発3号機は、安全向上の技術の粋を集めて、建設されつつある。現地では、放射能・原子力安全庁による問題点の指摘や改善要望は100件を上回った。

 2003年にTVO社がアレバ社などと契約を交わした時の運転開始は6年後の2009年、それまでの投資予定額は30億ユーロだった。ところが運転開始の時期はどんどんずれ込み、今の段階では、一番早くても4年遅れの2013年といわれている。

 建設にかかるコストがいくらになるのか

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筆者

脇阪紀行

脇阪紀行(わきさか・のりゆき) 大阪大学未来共生プログラム特任教授(メディア論、EU、未来共生学)

1954年生まれ。79年に朝日新聞社に入社、松山支局などを経て大阪本社経済部に。90年からバンコクのアジア総局に駐在。米国ワシントンでの研修を経て97年からアジア担当論説委員。2001年からブリュッセル支局長。06年から論説委員(東南アジア、欧州など担当)。2013年8月末に退社、9月から、大阪大学未来共生イノベーター博士課程プログラム特任教授。著書に『大欧州の時代――ブリュッセルからの報告」(岩波新書)、『欧州のエネルギーシフト』(岩波新書)。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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