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「ジャパンエキスポ」にみるフランスのオタクたち(下)――高まる韓国企業のプレゼンスと波紋

清谷信一

清谷信一 軍事ジャーナリスト

 今回、筆者が注目したのは「Village Japon(ヴィラージ・ジャポン、日本村)」だ。これは経済産業省のクールジャパン戦略推進事業の、海外イベントへの出展第一弾である。

拡大Village Japon(ヴィラージ・ジャポン、日本村)のステージではせんとくんも活躍=撮影・筆者
 「ヴィラージ・ジャポン」は180平米の広さに15の出展企業とイベント用ステージを備えたものだ。

 ブース代は経産省が負担している。出展企業は南部鉄や和装小物などの伝統工芸、日本酒、学生服、インテリアなど多岐にわたっている。ステージでは奈良のユルキャラ、せんとくんや三味線の演奏などが人気を博していた。

 この「ヴィラージ・ジャポン」はプロデューサー方式を導入しており、プロデューサーがテーマとイメージを絞ることにより一体感を出す戦略をとっている。その方針が当たり、常に賑わっていた。また、楽天によるオンライン店舗を開設し、特製紙バッグと引き換えにメールアドレスを登録した人間に配ることで個人データを蓄積し、イベント終了後も来場者とコンタクトを取ることなどの努力をしている。

拡大ユニクロも初めて出店=撮影・筆者
 このような形で国が中小企業の海外進出を助けることは非常に重要である。来年はクールジャパン戦略推進事業が内閣府の事業に格上げされるという話もあるらしいが、そうなれば今回別々に出展している外務省や他の省庁などを横串にした出展が可能となり、省庁間の縦割りの弊害を排除できるようになるだろう。

 だが漫然とジャパンエキスポに出展すれば儲かる、注目されるというものでもない。漫然と出展している日本からの出展ブースでは、閑古鳥が鳴いているところもあった。

 来場者の多数派をしめる10代の若者は日本の同世代に比べて可処分所得が少ない。日本のように万円単位のお年玉をもらえるわけでもない。このため会場では高いものはあまり売れない。

 今回初出店のユニクロは、商品をTシャツに絞っていたが、その作戦は功を奏したといってよいだろう。ユニクロは現在、パリのオペラ座近くに1店舗のみの出店だが、近々パリにもう1店出展を予定している。その前宣伝も兼ねていたようである。

拡大伝統武道のコーナーも人気がある=撮影・筆者
 同社の担当者によるとフランス、特にパリでは大型店舗の出物が少ない上に、出店規制が多かったり、不動産の契約など、従業員の雇用などで出店に際して色々と制約や時間がかかることが多い。

 このため店舗数の拡大には時間がかかるそうだ。対して英国は着実に店舗数を増やしている。

 さて、来場者本人の小遣いが少ないならば、注目すべきは保護者同伴のローティーンの来場者だ。概してフランスでもおじいちゃん、おばあちゃんは孫に甘い。お父さんも子供に甘い。ただしお母さんは出費に厳しい。

 よって、比較的高額な商品を扱うブースでは祖父母、あるいは父親を同伴している来場者の保護者を口説く必要がある。「将を射るにはまず馬から」という訳である。実際、この作戦で売り上げを上げているブースは少なくなかった。

 会場の活気とは裏腹に憂慮すべきこともある。

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筆者

清谷信一

清谷信一(きよたに・しんいち) 軍事ジャーナリスト

軍事ジャーナリスト、作家。1962年生まれ。東海大学工学部卒業。03~08年まで英国の軍事誌Jane's Defence Weekly日本特派員。香港を拠点とするカナダの民間軍事研究機関、Kanwa Informtion Center上級顧問。日本ペンクラブ会員。著書に『専守防衛─日本を支配する幻想』『防衛破綻―「ガラパゴス化」する自衛隊装備』『自衛隊、そして日本の非常識』『ル・オタク フランスおたく物語』、共著に『軍事を知らずして平和を語るな』『アメリカの落日―「戦争と正義」の正体』『すぐわかる国防学』など。最新刊に『国防の死角――わが国は「有事」を想定しているか』。

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