清谷信一
2011年08月13日
ブース代は経産省が負担している。出展企業は南部鉄や和装小物などの伝統工芸、日本酒、学生服、インテリアなど多岐にわたっている。ステージでは奈良のユルキャラ、せんとくんや三味線の演奏などが人気を博していた。
この「ヴィラージ・ジャポン」はプロデューサー方式を導入しており、プロデューサーがテーマとイメージを絞ることにより一体感を出す戦略をとっている。その方針が当たり、常に賑わっていた。また、楽天によるオンライン店舗を開設し、特製紙バッグと引き換えにメールアドレスを登録した人間に配ることで個人データを蓄積し、イベント終了後も来場者とコンタクトを取ることなどの努力をしている。
だが漫然とジャパンエキスポに出展すれば儲かる、注目されるというものでもない。漫然と出展している日本からの出展ブースでは、閑古鳥が鳴いているところもあった。
来場者の多数派をしめる10代の若者は日本の同世代に比べて可処分所得が少ない。日本のように万円単位のお年玉をもらえるわけでもない。このため会場では高いものはあまり売れない。
今回初出店のユニクロは、商品をTシャツに絞っていたが、その作戦は功を奏したといってよいだろう。ユニクロは現在、パリのオペラ座近くに1店舗のみの出店だが、近々パリにもう1店出展を予定している。その前宣伝も兼ねていたようである。
このため店舗数の拡大には時間がかかるそうだ。対して英国は着実に店舗数を増やしている。
さて、来場者本人の小遣いが少ないならば、注目すべきは保護者同伴のローティーンの来場者だ。概してフランスでもおじいちゃん、おばあちゃんは孫に甘い。お父さんも子供に甘い。ただしお母さんは出費に厳しい。
よって、比較的高額な商品を扱うブースでは祖父母、あるいは父親を同伴している来場者の保護者を口説く必要がある。「将を射るにはまず馬から」という訳である。実際、この作戦で売り上げを上げているブースは少なくなかった。
会場の活気とは裏腹に憂慮すべきこともある。
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