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菅政権(菅直人)の評価点と問題点から、私たちが学び、次につなげないといけない

鈴木崇弘

鈴木崇弘 城西国際大学客員教授(政治学)

 菅政権(菅直人)のこの一年余を、独断と偏見から総括してみたい。

 ジバン(地盤=支持者)、カンバン(看板=肩書き)、カバン(鞄=金)のない人物である菅直人氏が総理になったことは、日本の政治も民主主義における一つの可能性があることを示したのだと思う。

 また、菅総理の政権維持への執念に対しては、いろいろな意見や考えがあると思うが、やはり評価されるべきであると思う。

 小選挙区制になり、政党のリーダー育成と選出の新しい仕組みが必要であるにもかかわらず、民主党や自民党のような政権与党・政権党になる政党にその準備ができていない(注1)。そのため誰が与党代表つまり総理大臣になっても、小泉総理などの例外を除けば、政権維持が容易ではない。

 2006年以降の安倍、福田、麻生政権そして政権交代後の鳩山政権がすべて短命であったことをみれば、それは自明だ。しかも、菅総理は、鳩山政権の負の遺産である普天間問題などを背負って政権運営をしなければならなかった。これはマイナスの位置から政権運営を開始したといえる。経済状況も悪かったうえに、東日本大震災によってなおさら政権運営が困難になったといえよう。

 そのようななか、菅政権は、政界および国民皆が思った以上の粘り腰を示し、政権維持への強い執念・執着を持ち、小泉政権以降で最も長期の政権期間を実現した。菅総理には、どうせなら、来年の秋に予定されている任期まで、もちろん現状のままではなく、新たな、かつ強力な政策的な方向性を打ち出しながら維持してほしかった。しかし、政権維持を阻止しようとする周辺の外堀を完全に埋められ、菅総理もついに断念したようだ。

 今の政党や政治の状況において、政権維持をしようとするには強い執念が絶対に必須だ。菅総理以外で、これぐらいの執念のある政治家は、今の政界に何人いるだろうか。その点で、菅総理をまず評価したいし、評価されるべきであると思う。 

 他方、菅総理は、市民運動出身であるにもかかわらず、

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