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イラン軍とトルコ軍がクルド人ゲリラと衝突

高橋和夫

高橋和夫 放送大学教養学部教授(国際政治)

 独自の言語と文化を持つクルド人の居住空間であるクルディスターンがイラン、イラク、シリア、トルコの国境地帯を中心に広がっている。どの国においてもクルド人は少数派である。そのクルド人をめぐる情勢が緊迫している。7月中旬から、イラン軍とイランのクルド人の反政府組織PJAK(クルディスターン解放生活党/仮訳)の衝突が報じられている。PJAKは2004年に創設されたイランのクルド人の組織で、トルコで反政府活動を続けるPKK(クルディスターン労働党)と密接な関係があると見られている。

クルド人の居住空間であるクルディスターン
 この時期に衝突が激しくなった理由は明らかではない。PJAKが攻勢を始めたのか、あるいはイラン政府側が仕掛けたのかも不明である。

 しかし、イランは、およそ5000名の兵力を展開していると伝えられ、連日イラク領内のPJAKの拠点を砲撃している。

 これまでに、イランの革命防衛隊の将軍以下5名が地雷を踏んで戦死した。またイラク国内では国境付近の住民800名が村を捨てて避難生活を迫られている。イラン軍の戦車やヘリコプターが越境している模様である。イラン側は、越境を否定、イラン政府のために働くクルド人の部隊が戦闘に従事し多数のゲリラを殺害したと発表している。逆にゲリラ側も戦果を強調している。

 イラク政府は、イランに砲撃の中止を求めている。またイラク議会ではマーレキ首相の沈黙を批判する声も出始めている。逆にイラン国内でも

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