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カダフィと欧米の幸福な関係の終わり

高橋和夫

高橋和夫 放送大学教養学部教授(国際政治)

 リビアはイラク戦争の正当化の根拠の一つであった。2003年のイラク戦争によってフセイン独裁が打倒された後に、カダフィが米英と取り引きを行ったからだ。

拡大トリポリのカダフィ政権軍の拠点、バーブ・アジジヤ地区に入り、カダフィ大佐の像の一部を踏みつけるしぐさをする反体制派の兵士たち=8月23日、AP
 リビアは、大量破壊兵器開発計画の放棄、その全貌の公開、1988年のスコットランドのロカビー上空での民間航空機爆破事件のリビア人容疑者の引き渡し、同事件の犠牲者の家族への補償などの一連の措置を取った。

 これでカダフィは、依然として風変わりな独裁者だったが、もはや危険ではなくなった。

 なぜリビアは大量破壊兵器の製造計画を放棄したのだろうか。それは、イラクのフセイン体制が大量破壊兵器の「秘匿」を理由に攻撃され打倒されるのを見たからである。つまりリビアの大量破壊兵器の放棄は、米英のイラク戦争の成果である、との解釈がブッシュとブレアの両首脳によって強調された。イラク戦争はフセインという一人の独裁者を倒したばかりでなく、カダフィという、もう一人の独裁者の牙を抜いた。世界は、より安全になった、というわけだ。

 リビアの譲歩には、ついでにボーナスもついてきた。

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筆者

高橋和夫

高橋和夫(たかはし・かずお) 放送大学教養学部教授(国際政治)

北九州市出身、放送大学教養学部教授(中東研究、国際政治)。1974年、大阪外国語大学ペルシャ語科卒。1976年、米コロンビア大学大学院国際関係論修士課程修了。クウェート大学客員研究員などを経て現職。著書に『アラブとイスラエル』(講談社)、『現代の国際政治』(放送大学教育振興会)、『アメリカとパレスチナ問題』(角川書店)など多数。ツイッター https://twitter.com/kazuotakahashi ブログhttp://ameblo.jp/t-kazuo 

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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