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民主党のインセプション

林志行

林志行 林志行(早稲田大学大学院経営デザイン専攻教授)

 民主党が、次のリーダーを決める代表選。代表選は本来、偶数年に行われるため、奇数年である2011年の実施は、イレギュラーだ。民主党代表選挙規則が承認された2000年以降、これまでに、任期の2年をまっとうしたのは、2回しかない。

 2000年~2002年までの鳩山由紀夫氏と、もう一回は、2006年~2008年の小沢一郎氏だ。ただし、両代表とも、再選されたのちは、任期途中で代表の座を降りている。わずか3年前の2008年9月の代表選では、小沢氏が代表となったが、翌年の09年5月には鳩山氏に、さらに昨年の6月には菅氏へと、3人で引き継がれている。そして、菅総理が2010年9月に再選されて、1年後にまた代表選となっている。

 くるくる変わるのは、防戦一方だから。

 防戦なのは、自民党時代からである。ネットワーク化の時代、様々な情報が錯そうするなか、運営が難しくなっているともいえる。いわば、成長の時代には、右肩上がりの株式市場に連動するインデックス運用で上昇気流に乗るベンチマークとして先を行く欧米先進国だけを見ておけばよかったが、今は、途上国が追い上げ、凪(なぎ)の状況にあるともいえる。さらに、下げの局面が来ないように、現状を維持し、体力を蓄える時期にある。

 民主党代表選は、前原前外務大臣が出馬表明をし、野田財務大臣、海江田経済産業大臣との三つ巴の様相となっているが、まだまだ、投開票日に向け色々な動きは出てこよう。カギは、独自候補を持たない小沢氏。これに鳩山票を足した100~130票の動きだが、こうした状況が毎年繰り返されている。

 この現状を考えていて、映画「インセプション」(2010年、アメリカ)の構図を思い出した。

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