櫻田淳
2011年08月27日
菅直人の執政が終焉の時を迎えた。六月上旬の「退陣表明」以来、三ヵ月の停滞は、もはや否定すべくもない。
政治家の仕事を評価する第一の尺度は、煎じ詰めれば、「できたか、できなかったか」でしかない。菅の政権運営に関して、たとえば脱原発依存の政策志向を挙げて、「政策の方向性は誤っていなかった」と評する向きがあるけれども、こうした評は積極的な意義を持たない。「政策の方向性」を打ち出すのは、学者やジャーナリストにも手掛けられる仕事である。具体的な「権力」に裏付けられた政治家の仕事は、何よりも、「実践の結果」が問われなければならない。
第一は、政策遂行の手足たる官僚組織を適宜、操縦する能力である。
第二は、政策遂行の根拠となる法案の審議に際して、野党の協力を取り付けて、関係する地方自治体や団体の利害を調整する能力である。
第三は、政策の意義を一般国民に対して説明し、納得を得ていく能力である。この「官僚の操縦」、「各方面との利害の調整」、「国民に対する説明」の何れにおいても、菅の政権運営には粗さが目立った。
ところで、鳩山由紀夫、菅の二代の宰相は、理工系学部出身である。
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