藤原秀人
2011年09月01日
8月29日の民主党代表選挙で当選した野田佳彦氏について、中国のメディアやネット世論は一様に、こう評した。
靖国神社に合祀(ごうし)されているA級戦犯について、小泉純一郎氏が首相時代に戦争犯罪人であるとの立場を表明したとき、民主党国対委員長だった野田氏は戦争犯罪人ではないとの質問主意書を政府に出した。その立場は「基本的に変わりありません」と15日の記者会見で答えたこと。それに、27日に日本記者クラブ主催で開かれた共同記者会見でも、「近隣国には経済成長とナショナリズムを求心力にしている傾向もある。来年は指導層が代わる変革期で、ナショナリズムをあおるためにちょっかいを出される可能性もある。それに対するシミュレーションはきっちりとやっておくことが大事だ」と名指しこそ避けたものの、中国に対して強い警戒感を表したこと、などが影響しているに違いない。
野田氏は2004年春、尖閣諸島・魚釣島に中国人活動家7人が上陸したことに対しても、「我が国の領土だと鮮明にする国会決議でメッセージを出す。甘い対応では誤解されかねない」と述べたことがある。また、A級戦犯をめぐる質問主意書を出したときには、中国の程永華駐日公使(現大使)から「承服できない」と抗議された経緯がある。
だから、野田氏がリードする今後の対中外交の行方を憂慮する声があがるのは、当然だ。一方で中国に対して強腰であることを希望する人たちもいる。
それでは、中国の共産党や政府の首脳が野田氏をどう見ているのだろうか。
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