脇阪紀行
2011年09月02日
地下の暗闇をマッチで照らして、一瞬の明るさを作る。そうした印象的な手法を使いながら、監督は次のような問いかけをする。
「10万年後の未来がどのような世界か、果たして、我々は知っているのだろうか」
「10万年前、地球には人類の祖先がやっと生まれたばかりだった。これから10万年の間には氷河期が再び来るだろう。10万年後の未来、今の人類とその文明が果たして、生き残っているのだろうか」
ある世代が次の世代に交代するまでに少なくとも約30年の歳月がかかる。100年に3代の世代交代が起きるとすれば、1万年の間に300代が過ぎ、10万年だとそれが3000代となる。想像を超えた時間の長さに目がくらむ思いがするのは私だけではあるまい。
この長時間にわたる使用済み燃料の貯蔵という事実が生み出すのは、人類の存在にかかわる深刻な問いかけだけではない。時に、ユーモラスな問いが発せられる。
「将来の人類が、この最終処分場の存在を知ったら、どういう風にメッセージを伝えればいいのだろうか」
そんな問いかけに、処分場関係者は戸惑ったように答えている。
「ここには近づくな、それだけだ」
しかし問題は、
有料会員の方はログインページに進み、朝日新聞デジタルのIDとパスワードでログインしてください
一部の記事は有料会員以外の方もログインせずに全文を閲覧できます。
ご利用方法はアーカイブトップでご確認ください
朝日新聞デジタルの言論サイトRe:Ron(リロン)もご覧ください