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野田首相は、党内融和より国民との融和を

鈴木崇弘 城西国際大学客員教授(政治学)

 9月4日、野田政権に対する支持率が各紙から発表された。朝日新聞53%、日本経済新聞67%、読売新聞65%、毎日新聞56%。想像以上に高い数字だ。民主党内には、V字回復に安堵の声が広がっているという。

50%を超える支持率でスタートした野田首相

 大震災勃発や原発危機などの未曾有の事態にもかかわらず、相変わらずの民主党内の政争や与野党の政治の混乱に対して、「ノーサイドにしましょう」と党内融和を掲げる野田総理に国民の大きな期待が表れた格好だ。 

 野田首相は、代表選後の演説や組閣、党首会談などにおいても、党内融和、与野党協力の方向性を示しており、菅政権時代の党内あるいは与野党間のギクシャクした感じの解消に努めているようにみえる。

 しかしながら、野田政権には、次のような3つの大きな問題があると思う。

 まず一番目が、党内融和に配慮し過ぎたため、大臣が「適材適所」とはいいがたいことだ。多くの初入閣者や担当が未経験分野という大臣がいるが、野田政権は、政策や法律などを実現し、被災地の復興や長らく停滞する日本の再生に向けたエンジンを強力に動かしていく実務に長けた実行内閣であるべきだ。今後の内閣の動きに注目したい。

 二番目が、その内閣の問題と連動するが、党役員人事や組閣においてその実現が考慮されたといわれる増税以外に、野田総理・内閣が一体何をしたいのかがあまり判然としないことだ。代表選でも政策論議は低迷で、野田総理の明確なビジョンや具体的な政策は残念ながら聞けなかった。現時点では、党内融和を図り、急務にのみ対応することを目的とする内閣にすぎないといわれても仕方がないのではないか。今後、野田総理自身のビジョンや具体策を明らかにしてほしいものである。

 最後が、最も重要なこと。

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