脇阪紀行
2011年09月08日
●エネルギー事業は「小さな巨人」
この国最大の紙・パルプ企業UPMの首都ヘルシンキにある本社を訪ねた。
UPM社は典型的な多国籍企業だ。いくつかの有力企業が合併して1996年に生まれた。年次報告によると、2010年の売上高は89億ユーロ(約1兆円)、世界15カ国に2万2000人の社員が活動している。フィンランド人社員の占める割合は4割で、残り6割が欧州やアジアの出身者だ。
売上高の国別構成を見ると、なんとドイツが一番大きく、全体の15%を占める。次いで、英国(11%)、フィンランド(9%)、フランス(6%)と続く。売上高の7割が欧州だが、アジアが14%、北米が12%と、活動は国境を越えている。
フィンランドなど3カ国で98万ヘクタールの森林を持ち、独仏英、中国、米国など世界の19カ所に紙の生産工場を持っている。紙・パルプ生産で売り上げの7割近くを占め、そこに木材や合板生産を加えると8割を超える。新規事業として、バイオ燃料やバイオ化学の研究にも取り組んでいる。
目を引くのは、本来、縁の下の力持ちとして、本業を支える役割を担ってきたエネルギー事業の成長ぶりだ。
売り上げでは全体の3%しかないが、前年比46%、全体の3分の1にあたる2億3700万ユーロもの利益を稼いでいる。この会社にとって、エネルギー事業は、成長の続く「小さな巨人」と言ってもいい。
一体、どんな事業をやっているのだろうか。
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