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鉢呂問題が浮かび上がらせたメディアの病巣

後藤謙次 後藤謙次(フリーの政治コラムニスト、共同通信客員論説委員)

 鉢呂吉雄・経財相の辞任に至る報道はジャーナリズムの大きな社会的使命である「権力の監視」という機能の発揮と言えるだろうか。むしろ大手メディアが抱える「病巣」の一端を浮かび上がらせる結果となったように思えてならない。

 大手メディアに長く在籍した皮膚感覚で言えば、鉢呂辞任報道の背後に見え隠れしているのはほぼ2カ月前の松本龍・前震災復興担当相の辞任劇である。松本氏の暴言の論議はともかく、暴言を発した直後のメディア報道はまちまちだった。

辞任の記者会見を終え、会見場を後にする鉢呂吉雄経産相=9月10日、経産省で

 一般紙で言えば、1面で展開した社もあれば、政治面や社会面で小さく扱った社もあった。松本氏がメディアのカメラがいるにもかかわらず「オフレコだぞ」と発言したことが報道を控えめにする要因だったのか。それとも被災地という遠隔地で東京本社から記者が同行していなかったのか、背景事情はつまびらかではないが、第一報で優劣がついたのは間違いなかった。

 ここで後れをとった記者やメディアに芽生えるのが、いわゆる「特オチ恐怖症」だ。

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