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原発推進に向けたインテリジェンス活動を強化するロシア

佐藤優 作家、元外務省主任分析官

 9月19日、オーストリアのウィーンで開催された国際原子力機関(IAEA)の総会で、セルゲイ・キリエンコ露国営原子力企業「ロスアトム(ロシア原子力)」社長(元首相)が演説を行った。この演説に関するロシア国営ラジオ「ロシアの声」(旧モスクワ放送)の19日付報道を引用しておく。

<露原子力企業:フクシマの教訓を考慮して原子力エネルギーの発展を続ける

 ロシアは「福島第一原子力発電所」の教訓を考慮しながら、原子力エネルギーの発展を続ける。ウィーンで19日に開幕した国際原子力機関(IAEA)の総会で、ロシア原子力企業「ロスアトム」のキリエンコ社長が述べた。

 社長は、福島第一原発のような深刻な事故でさえも、原子力エネルギーの今後の発展に疑問を抱かせることはないと指摘した。

  キリエンコ社長は、日本の原子力発電所での事故が、原子力安全保障の優先性を照らし出したと述べ、ロシアでは福島第一原発の教訓を考慮し、追加的な安全評価が実施されたと言及した。

 キリエンコ社長は、原子力の安全性は常に保証され確認されていなければならないと指摘し、ロシアはそのような作業をIAEAと共に行う用意があると強調した。>(http://japanese.ruvr.ru/2011/09/19/56402446.html)

 キリエンコ社長は、福島第一原発事故を人災と認識している。それだから、<福島第一原発のような深刻な事故でさえも、原子力エネルギーの今後の発展に疑問を抱かせることはない>という認識を表明するのである。ロシアの政治エリートは、国際政治が帝国主義的傾向を強めていると考える。帝国主義のゲームのルールは力の均衡だ。それだから、政治と経済を一体化させ、国益を極大化することがロシアの国家戦略になる。この観点からすると、原発はロシアにとって有益な道具なのである。

拡大完成間近のカリーニン原発4号機の内部=2011年5月、ロシア・ウドムリャ近郊

 まず、エジプト、バハレーン、リビア、シリアなど中東情勢の不安定化によって石油価格が上昇している。また、福島第一原発事故により、ドイツ、イタリアなどが脱原発政策を推進する。その結果、液化天然ガス(LNG)の需要が増える。ロシアは石油、天然ガスの産出国だ。国内での原発依存度を強め、石油、天然ガスの輸出を増大させることがロシアの国富増大に貢献する。

 また、原発はロシアの重要な ・・・ログインして読む
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筆者

佐藤優

佐藤優(さとう・まさる) 作家、元外務省主任分析官

1960年生まれ。作家。元外務省主任分析官。同志社大学神学研究科修士課程修了。外務省では対ロシア外交などを担当。著書に『宗教改革の物語――近代、民族、国家の起源』(KADOKAWA)、『創価学会と平和主義』(朝日新書)、『いま生きる「資本論」』(新潮社)、『佐藤優の10分で読む未来』(新帝国主義編、戦争の予兆編、講談社)など多数。

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