2011年10月07日
更に艦載機の質も西側のそれに比べて未だ大きく劣っている。最新型の戦闘機J-10の艦載機型を開発するにしても、J-10の能力はF-16のA/B型程度だといわれており、現用のF-16の最新型に比べればまだまだ低い。
また中国軍はインド軍と並んで戦闘機の機体の損失が大きい。これは機体の品質、信頼性、整備能力などが低く、パイロットの飛行時間がこれまた短いからだ。これが洋上を飛ぶ艦載機、しかもJ-10やJF-17など単発機をベースにした機体では損耗率はかなり高くなるだろう。
中国は空母を建造する一方で、米国との軍事協力も進めている。歓迎式典で中国軍兵士の前を歩くゲーツ米国防長官(右、当時)と梁光烈国防相(中央)=2011年1月、北京市内双発機ならば洋上でエンジンが片方止まっても母艦や地上基地にたどり着ける確率はかなり高いが、単発ならそうはいかない。筆者は過去何度も米英の空母搭乗勤務経験のあるパイロットに話を聞いたことがあるが、彼らが口を揃えていうのは、単発機で洋上を飛行することはエンジントラブルを考えると非常に大きなプレッシャーを受けるということだ。
中国が5隻の空母を一挙に投入しても米空母1隻の戦力には遠く及ばない。中期的には、中国の空母は日米同盟にとって大きな脅威となりえないだろう。
このような空母部隊の整備に軍事予算を投じるのは一種の浪費であるといってよい。
ではまったく中国の空母が脅威ではないかといえば、そうとも言えない。
有料会員の方はログインページに進み、デジタル版のIDとパスワードでログインしてください
一部の記事は有料会員以外の方もログインせずに全文を閲覧できます。
ご利用方法はアーカイブトップでご確認ください
朝日新聞社の言論サイトRe:Ron(リロン)もご覧ください