2011年10月11日
しかし、ド・ゴールがその執政に際して何よりも留意していたのは、「経済」の再建であった。一九五八年、彼が政界に復帰した直後、フランスの財政は、対外債務と歳入欠陥が重なり破綻寸前の状態に追い込まれていた。ド・ゴールが一貫して追求した「フランスの偉大さ」は、盤石な「経済」によってこそ担保されるものであった。
ド・ゴールが往時のフランスの財政破綻を回避するために採った対応は、次に挙げる三つの骨子に則っていた。
(1)歳入の拡張と歳出の抑制
(2)通貨の安定
(3)自由貿易の推進
これは、誠に平凡な骨子である。具体的に採られたのは、次のようなものである。
(1)個人所得・法人、奢侈品への課税強化。酒、煙草への課税強化、公共料金の値上げ、公務員・公職者給与の引上げ凍結。軍人恩給支払中止、社会保障会計への補助金削減
(2)新通貨フランの発行と通貨価値の防衛
(3)「欧州統合」の推進、「市場」の確保を趣旨とした自由貿易の推進
ド・ゴールは、こうした三つの骨子の施策を並行させて断行した。加えて、確認されるべきは、
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